平良とみさん死去 87歳 沖縄芝居名優、「おばあ」役

 沖縄芝居やテレビ、映画で幅広く活躍し、「おばあ」として親しまれた女優の平良とみ(たいら・とみ、本名トミ子)さんが6日午前4時27分、敗血症による呼吸器不全のため那覇市の病院で死去した。87歳。那覇市出身。自宅は宜野湾市宜野湾3の23の41。告別式は8日午後2時から3時、那覇市銘苅3の22、サンレー那覇北紫雲閣で。喪主は夫進(すすむ)さん。 1928年生まれ。石垣島にいた13歳のときに沖縄芝居の翁長小次郎一座に入団。進さんと共に劇団ときわ座、劇団潮などで活躍した。82年から進さんと劇団綾船を立ち上げ、沖縄芝居やしまくとぅばの普及、後進の育成に励んだ。

 99年に映画「ナビィの恋」に出演。2001年にはNHKの連続テレビ小説「ちゅらさん」で主人公の祖母役を演じた。ゆったりした語りや柔和な笑顔で「おばあ」として全国的な人気者になった。

 伝統的な沖縄芝居にとどまらず、沖縄戦を描いた演劇「洞窟(ガマ)」、喜劇「めんそーれ沖縄-なんくる狂想曲」などに出演。全国を巡演し沖縄の歴史や現在の姿を伝えた。県と沖縄観光コンベンションビューローの「だいじょうぶさぁ~沖縄」キャンペーンのテレビコマーシャルに起用されるなど、観光振興や沖縄のイメージ向上にも貢献した。

 1998年に県文化功労者に表彰された。99年に県指定無形文化財「琉球歌劇」保持者に認定。2014年に旭日双光章を受章。ことし9月には琉球新報賞を受賞した。

 進さんは「全国の皆さんにかわいがられ、いつもいつも感謝していた。後輩のためにも頑張りたいというのが口癖だった。本当に皆さまありがとうございました」とコメントを発表した。

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