小泉元首相「9条改正、安倍政権では無理」

◆原発ゼロ争点「参院選が重要に」

 小泉純一郎元首相(77)が神奈川新聞のインタビューに応じ、今夏の参院選について「野党がまとまって原発ゼロを争点にすれば、自民党は勝てるか分からない。非常に重要な選挙だ」と強調した。安倍晋三首相が目指す9条を軸とする憲法改正に関しては「野党と協力しないとできない。安倍さんでは無理だ」と指摘。可能性が取り沙汰されている衆参同日選には「衆参の結果が違ったらどう判断するのか。やるべきではない」と述べた。

 小泉氏は、2011年の東電福島第1原発事故後、原発をなくす必要性を訴え続けている。「絶対安全、コストは一番安い、クリーンという経済産業省、原発推進論者の3大大義名分が全部うそだと分かった。反省を込め、推進論者のうそを分かってもらわねばと、講演活動を始めた」と振り返った。

 原発ゼロは「政治の決断で実現できる」とし、今夏に実施される参院選を「非常に重要。政治は与党だけでなく、野党、ひいては国民の意向で動かす。原発はない方がいいという国民の方が多い。これを争点にできるか、野党が鍵を握っている」と位置付けた。

 安倍政権が「成長戦略」として進める原発輸出政策については「トルコでもベトナムでも英国でもみんな断られ、八方ふさがり。破綻している。原発は衰退産業なのに成長産業にしようというのは、どうかしている」と批判。再生可能エネルギーの普及に加え原発4基の再稼働で電力供給力が底上げされ、太陽光発電の出力制御を何度も行っている九州電力に対しては「よくこんなばかげたことをやっている。あきれている」と酷評した。

 ほどなく平成が終わり、新しい時代を迎えるが、「平成で原発が終わったと、原発をなくして自然エネルギーでやっていこうという契機になったと、そういう時代にしたい」と語った。

 インタビューは1月24日午後、都内で行われた。

神奈川新聞のインタビューに応じる小泉元首相=1月24日午後、東京都品川区の城南信用金庫本店

© 株式会社神奈川新聞社