徳島県人会の新会長は原田氏=賃貸問題は弁護士が交渉中

10人が出席した総会の様子

 ブラジル徳島県人会(大原勝美会長)は26日午前、聖市ツクルビー区の同会館で19年定期総会を開催し、原田昇氏が会長に返り咲いた。
 賃貸契約の更新を巡り、赤字運営に悩む県人会が昨年末に4割値上げを求めたため、カラオケ・ダンスで利用する日系文化協会との間でいさかいが生じた。両者は感情的に対立して平行線を辿っており、その緊張状態の中での総会となった。
 開始直前に、同日系文化協会の入津ジョゼさんと粂恵子(くめ・しげこ)前会長が姿を現した。それに対し、原田氏が「入津さんは会員ではないから総会に出席できない」と入場を断ると、結局2人とも入らなかった。
 原田氏によれば「賃貸料の件は、向こうが弁護士を立ててきたので、こちらも立て、それを通して交渉中」とのこと。
 総会には10人が出席し、原田氏が議長となって総会を進行。18年事業報告は1月の役員会、2月の総会、4月の役員会、7月の日本祭り、8月の役員会、9月の四国ブロックの運動会参加、11月の役員会、12月の忘年会。19年度事業案は「7月の県連日本祭り参加」のみ。
 昨年の会計報告では実際の収入が12万レアル余り、支出が15万3千レアルで約2万7千レアルの赤字だった。総会が行われた大サロンは天井の一部が剥げ落ちており、原田氏は「県からの補助金はゼロ。雨漏りや天井を直すには数万レアルが必要になる。このままではその資金がない」と嘆いた。

天井の一部がはがれ落ちている

 単年度会計では赤字だが19年への繰越金は約30万レアル。溜まった理由を尋ねると原田氏は、「IPTU(都市不動産所有税)が年4万5千レアルにもなる。会計士のおかげで何年分かが戻ってきたので、それが溜まってその金額になった。余裕がある状態ではない」とのこと。
 19年の予算案は収入16万5千レアルに対し、支出は20万8千レアルと4万レアルも赤字だが誰からも質問が出ず、すんなり承認された。その分、繰越金が減る予定だ。
 役員選挙では、総会の1カ月前のシャッパ提出期限までに出されたのは原田氏を会長とするもののみ。拍手で承認された。【理事会】会長=原田昇、第一副会長=伊沢国一、第二副会長=坂東英子、第一会計=森西豊、第二会計=原田小野マルシア、第一書記=泊エルザ、第二書記=大原ヒロキ【監査役】正=フルゲン・ノブコ、フルゲン・ミネヒサ、補=坂東セルジオ、井関チエ【相談役】大原勝美、瀬尾正弘

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 本来は昨年が「県人会創立60周年」だった徳島県人会だが、結局は式典を開催できなかった。その理由を聞くと、「前会長が県庁との関係を疎遠にしてしまったため。準備がまったく進んでおらず、開催できなかった」とのこと。県費留学生や研修生も15年ほど前に県庁から中止され、それからまったく若手が育っていないとか。メトロ駅近くに立派な会館が建っているだけに、もったいない感じが強い。とはいえ総会でも10人しか集まらないようでは、確かに式典開催は難しいかも。

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