「紅白」で最も注目を集めた歌手はあの人! 大みそか特番の意外な見られ方が判明

「紅白」で最も注目を集めた歌手はあの人!

大みそか特番の意外な見られ方が判明

今回は東芝レグザの東芝レグザを使って、昨年末の大みそかの番組分析を行ってみようと思う。「ライブ率(リアルタイム視聴)」、「再生率(タイムシフト視聴)」、その両方の重複を除いて合算した「総合接触率」の三つの指標で、世帯視聴率だけでは分からない各番組の視聴状況を浮き彫りにしていこう(ここでのライブ率はレグザのデータ集計によるもので、ビデオリサーチの世帯視聴率とは異なる)。

※こちらは、インターネットTVガイドの2018年12月31日~2019年1月6日「テレビ視聴率ランキング」「地上波録画視聴ランキング」

まずは大みそか恒例の「第69回NHK紅白歌合戦」の時間ごとの視聴状況を見てみよう。

さすが「紅白」、ライブ率の高さはさすがだが、すべての時間帯において録画で視聴している人がかなり存在していることが分かる。そしてライブ率に再生率を足した総合接触率を見ると、午後11時前後の数字が頭一つ抜け出している。米津玄師が故郷・徳島からの中継で「Lemon」を披露していた時間帯である。ビデオリサーチの歌手別視聴率では、最後に登場したサザンオールスターズにわずかに及ばず2位だったが、ここでの総合接触率では、サザン登場~松任谷由実、北島三郎らとの共演から結果発表に至るエンディングのピークに比べて数ポイントリードしている。やはり総合的には今回の「紅白」で最も注目されたアーティストは米津だったということになるだろう。そのほか、ユーミン、星野源、MISIAなど後半のアーティストの強さが目立つが、中でもひときわ目を引くのが午後9時後半開始直後のDA PUMP「U.S.A.」である。直後のいきものがかりやAKB48&BNK48に比べて、再生率が明らかに高い(再生率だけで言えば米津に次いで全歌手の中で第2位の高さである)。

続いてはこちらもおなじみ、日本テレビの「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル『絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!』」。

大みそかに放送されるようになって今回で13年目、紅白歌合戦の裏番組としてすっかり定着した「笑ってはいけない」シリーズ。今回世帯視聴率が前年を3%近く下回り、限界説もちらほらという状況であるが、録画視聴も交えた総合接触率を見てみると、衰えは感じられない。とにかくライブ率と再生率がこれだけ長時間高い水準で拮抗している番組は珍しい。特に「紅白」スタート前の時間帯では総合接触率が25%を超えている。計算上、対象テレビの4台に1台が川口春奈のヤンキー姿や古舘伊知郎とハリウッドザコシショウのコラボを映し出していたということになるわけで、これはもはや国民的番組と言っていいだろう。

他局の番組も見ていこう。「平成最後の大晦日SP!SASUKE2018&ボクシング井岡一翔世界タイトルマッチ」(TBS)と「RIZIN.14」(フジテレビ)である。

「紅白」と「ガキの使い」の2番組に比べると全体にポイントが低く、また録画視聴の割合が低い(これはスポーツというジャンルの特性であろう)が、どちらも明らかなピークを作っている。まず「SASUKE&井岡」のピークは二つ。午後9時前の井岡一翔が12ラウンドを戦いきって判定で敗れた試合直後と、「紅白」終了後の“SASUKEファイナルステージ”。特に年明け直前の横浜赤レンガ倉庫前で行われた熱気あふれる「SASUKE」のファイナルは、多くのライブ視聴者の目に留まっただろうと思われる。そして「RIZIN.14」のピークは、もちろん午後11時20分頃のメイウェザーVS那須川天心の無敗対決エキシビションマッチ。約2分強、あっという間のTKO劇でメイウェザーの圧勝であった。ライブ視聴がほとんどではあったものの、「紅白」ではちょうど嵐が歌っていた時間帯だっただけに、録画視聴の数字も高かった。総合接触率は瞬間的に12%を超えている。

ここからは年越しの瞬間の各局の動きを見てみよう。TBSの「CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2018→2019」とフジテレビの「ジャニーズカウントダウン2018-2019 平成ラストの夢物語!ジャニーズ年越し生放送」である。

例年のことだが、「ガキの使い!」はその瞬間、ライブ率がグッと下がる(そしてすぐ元に戻る)。逆にここで一気にポイントを上げているのが「ジャニーズカウントダウン」である。「SASUKE」のファイナルが終わった午後11時52分頃から数字を上げて、年越しの瞬間にはライブ率が12%を超えた。総合接触率でもこの年越しが番組内のピークとなったが、ほんの0.1%差で続いたのが深夜0時半過ぎのタッキー&翼「夢物語」。オールスターメンバーがバックを務めたラストステージで、ライブ率を大きく伸ばした。一方の「CDTVスペシャル」は、番組開始が11時55分ということもあり年越しの瞬間のポイントはそんなに高くない。最も高かったのは0時52分過ぎのDA PUMP「U.S.A.」であった。やはり2018年を代表する1曲であったことは間違いないだろう。その後ライブ率は次第に下がっていくが、DA PUMP直後に「TT」と「BDZ」を披露したTWICEや、1時45分頃からのKing & Prince~AKB48~乃木坂46~欅坂46のライブシーンが再生率を稼いでいる。

ここまでレグザの細かなデータを使って大みそかの番組を分析してきたが、見ている人たちのダイナミックな視聴傾向が手に取るように分かって非常に面白い。新しい年もさまざまなデータを使ってテレビ番組の新しい見方を紹介していこうと思うので、楽しみにしてほしい。

Text=武内朗

データ提供:東芝映像ソリューション

武内朗(たけうちあきら)


TVアナリスト。東京ニュース通信社にて「TVガイド」「TV Bros.」編集長ほかを歴任。現在株式会社ニュース企画代表。好きな言葉は博覧強記。3大フェイバリットコンテンツは、ビートルズ・ナイアガラ・魔法少女まどか☆マギカ。

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