雲仙市とインターネットサービス大手のヤフーの交流研修の仕上げとして30日、両者の若手による企画発表会が雲仙市役所であった。金澤秀三郎市長ら市職員約30人を前に、ITや観光、農業などの振興策を若者ならではの発想で熱く語った。
雲仙市とヤフーは2017年度から若手の人材交流を開始。雲仙市側は情報発信力の強化を目的に、ヤフー側は地域マーケティングの発掘に向けた現状視察を兼ねた取り組みで、同社が自治体と若手同士の研修をするのは初めてという。
20、30代の市職員9人と同社の20代社員8人が参加。これまで雲仙市職員がヤフー東京本社でプレゼン方法を学んだり、同社員が市内の観光地や生産現場などを訪れ、課題を探ったりしてきた。
30日は、雲仙市側2班、ヤフー側2班の計4班が観光振興策や若者への発信強化策などを発表。ITと農業の連携を研究した班は、就職による若者の転出が多い点を挙げ、「IT分野で働きたい人の受け皿が雲仙にはない」と指摘。基幹産業である農業とITを連動させた仕掛けやイベントを提案した。
また、会員制交流サイト(SNS)による情報発信の強化を訴えた班は、ホームページ(HP)も含めたネット運営を民間委託することを提案。雲仙市のフェイスブックが他市と比べ訴求力が弱く、「市長の行動日誌になっている」と指摘すると、金澤市長が「あれ誰が読むの」と自嘲気味に話す場面も。すべての発表が終わり、金澤市長は「新たな視点の提案もあり、ヤフーの協力に感謝したい。予算化できるものは前向きに協議していく」と講評した。
同社マーケティングソリューションズ統括本部の則元美生さん(27)は「今回初めて訪れた雲仙のことを深く知ることもでき、大変勉強になった」と笑顔を見せた。