議員の実情 2019 統一地方選アンケート(8)<自己評価> 平均67.3点 「採点は住民」も

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 未来へ-。昨年1月、初めて挑んだ選挙のポスターに若々しいキャッチコピーが躍った。あれから1年。「議員の仕事がここまで忙しいとは」。松浦市議の谷口一星(いつせい)(32)は慌ただしく過ぎた日々を振り返る。

 東京の大学院で経営学を学んでいたが、かねて興味があった政治の世界に挑戦したいと、古里に戻り出馬。当選後は定例会や委員会活動はじめ、地域のイベントや会合、国への要望活動などに目まぐるしく動いた。多忙の中、子育てしやすい環境づくりや赤潮対策に注力したつもりだ。1年目の自己採点は「70点」。「議員は行政と市民の仲介役。この1年で行政の論理について理解を深めた」と手応えを口にする。

 反省点もある。「もっと住民の声を聞く機会をつくればよかった」。それが減点分だ。住民からの積極的な要望は想像より少なく、受け身ではなく自ら地域に飛び込む必要性を痛感。2年目への模索が続く。

 「自身の仕事に点数をつけるとすれば100点満点で何点か」。議員アンケートでこんな質問をしたところ、自己採点した335人の平均点は67.3点。10点ごとに区分すると、70点台が86人と最多で、80点台(76人)が次いだ。要望の実現や行政への提言など、自身の仕事を一定評価している議員が多い。

 一方、「評価は有権者がするもの」などの理由で68人が自己採点を避けた。旧芦辺町議から通算し、8期目のベテラン壱岐市議、市山繁(84)は「自分の活動には自信がある。ただ、評価するのは市民。日ごろから誠心誠意頑張るしかない」。だが、その「評価する市民」について、こうも言う。「議会を傍聴する市民が昔より減ったね」

 投票率の低下に象徴されるように、有権者、特に若い世代の政治離れが指摘されて久しい。こうした中、市民が議員を評価する取り組みも広がりつつある。神奈川県の市民団体「相模原市議会をよくする会」は1999年から活動を始めた。赤倉昭男代表は「4年間誰も仕事を評価しない職場なんて議会だけ。市民がしっかりしなければならない」と語気を強める。

 メンバーは同市議会の本会議や委員会を傍聴し、定例会ごとにリポート、選挙前には各議員の成績を付けた通信簿を発行している。議会での態度や調査研究の内容など項目も多岐。今は議員の居眠り、途中退席、私語はなくなったという。

 「市民の評価にもいろんなアプローチがある」。島根大法文学部の毎熊浩一准教授(行政学)はこう指摘する。厳密な評価から、まず議員について知るというレベルまでさまざま。いずれにせよ、有権者が貪欲になることが重要だという。

 アンケートで、少なからぬ議員が回答に寄せた「採点するのは住民」との指摘。その有権者が、文字通り評価の「1票」を投じることができるのが選挙だ。貴重な機会である統一地方選が今春に迫る。

 =文中敬称略=

 ■調査方法■ 長崎新聞社が長崎県内全ての地方議会(長崎県議会、13市議会、8町議会)の全議員435人(当時)を対象に実施した。昨年10月末からアンケート用紙(回答は選択肢と自由記述)を配布し、同12月中旬までに回収。403人から回答(回収率92.6%)を得た。

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長崎県議選告示日の第一声で候補者とともに気勢を上げる支持者ら=佐世保市内(2015年4月、写真は一部加工)