(特集)大洲の鉄道物語~愛媛鉄道開通100周年記念事業~

愛媛県大洲市

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現在、日本国内では、新幹線をはじめ、多くの鉄道が日本中を巡り、人や物資を輸送しています。日本で最初の鉄道は、明治5年(1872)に開通した新橋―横浜間(約29キロメートル)です。開通した10月14日は、鉄道の日とされています。
一方、大洲地方では、肱川を利用した河川交通を中心に栄えてきました。そこに、西豫電気軌道(せいよでんききどう)(後の愛媛鉄道)による伊予郡郡中(現在の伊予市)から中山、内子を経由して大洲、八幡浜に至る鉄道の敷設が計画されます。しかし、資金不足などの問題があり、山越えを避け、海岸沿いである長浜経由として路線を建設することになります。そして、大正7年(1918)に長浜から大洲を結ぶ路線が開通しました。
開通から100年を迎え、その記念事業として、大洲市立肱川風の博物館・歌麿館で「大洲の鉄道物語展」が開催されています。
愛媛鉄道の誕生から、開通100年を迎えるまで、大洲の鉄道がたどってきた道を振り返ってみましょう。

1.愛媛鉄道の誕生(明治43年~大正7年)
明治43年(1910)、「西豫電気軌道」が伊予―大洲間の鉄道を計画します。(明治44年(1911)5月に「西予軽便鉄道」、9月に「愛媛鉄道」へと社名変更)しかし、資金の調達不足から、計画を大幅に縮小し、中山、内子の山越えを避けて、海岸沿いである長浜経由とし、レール幅も小規模化しました。建設は、容易と考えられた大洲―長浜間および大洲―内子間が優先的に行われることになります。
そして、相次ぐ変更のなか、大正7年(1918)、長浜―大洲間15.8kmが開通し、2年後に、大洲―内子間が開通しました。

2.国鉄による買収(昭和8年)
高松駅から松山駅まで開通した日本国有鉄道(国鉄)は、さらに松山以西の延伸計画を進めます。そして、国鉄は、当時経営が厳しい状況にあった愛媛鉄道を昭和8年(1933)に約120万円(現在の貨幣価値にして約23億円)で買収しました。
国鉄に買収、移管された路線は、国鉄愛媛線と呼ばれますが、買収後すぐにレール幅を変更する工事が行われました。

3.国鉄の延伸(昭和10年~昭和20年)
昭和10年(1935)6月、伊予上灘駅―下灘駅間が開通、同年10月には、新築移転した伊予大洲駅まで国鉄が開通しました。これにより、高松から大洲まで1本の線路でつながったことになりました。
昭和11年(1936)には伊予平野駅まで、昭和14年(1939)には八幡浜駅まで延伸開通しました。
昭和16年(1941)には、宇和島駅―卯之町駅間が開通、昭和20年(1945)には、最後に残されていた八幡浜―卯之町間が開通することで、国鉄予讃本線高松―宇和島間がついに全通することとなりました。

4.準急時代から急行時代へ(昭和25年~昭和33年)
昭和25年(1950)、高松―松山間にはじめて愛称付準急「せと」が誕生しました。その翌年には、宇和島まで運転が延長され、南予路も準急時代へと突入します。当時の運行は、高松―宇和島間1本のみで、所要時間は約7時間かかりました。
昭和33年(1958)から昭和36年(1961)にかけて、準急「やしま」や愛媛初の急行である「四国」が登場し、車両も蒸気機関車けん引による客車から、当時新鋭の気動車(エンジンを搭載した列車)へと変更され始めました。この車両の近代化により、高松―宇和島間の所要時間も最速で約5時間30分に短縮されました。

5.特急時代の到来(昭和47年~昭和63年)
昭和47年(1972)、四国で初めての特急が登場しました。高松―松山―宇和島間に「しおかぜ」、高松―高知間に「南風」の愛称が付けられました。高松―宇和島間は、急行に比べて停車駅も少なく、所要時間も約4時間35分となり、大幅に短縮されました。
昭和62年(1987)、日本国道鉄道の分割民営化により、四国旅客鉄道株式会社(JR四国)が発足しました。現在は、9路線、総営業キロ855.2kmの鉄道路線を営業しています。
昭和63年(1988)の瀬戸大橋開通後、「しおかぜ」が岡山発着とされると、高松―松山・宇和島を結ぶ特急として「いしづち」が誕生しました。

6.そして現在へ(平成2年~)
平成2年(1990)には、2000系が導入され、昭和41年(1966)から走っていた急行「うわじま」は、新たに登場した特急「宇和海」にその任務を譲ります。これにより、愛媛県内を走る優等列車はすべて特急となり、完全な特急時代へと移行しました。
平成26年には、四国初の本格観光列車「伊予灘ものがたり」が運行されています。

■大洲の歴史と共に
今回は、愛媛鉄道が開通してから100年間分の歴史を紹介しました。懐かしいと思う人もいれば、もう一度乗ってみたいと思う人もいたかもしれません。
大洲の発展を支えてきた鉄道は、時代とともにさまざまな形に変遷しました。鉄道の歴史は、当時の文化や技術が色濃く反映されています。鉄道に限らず、他の交通手段の歴史も調べてみてはいかがでしょうか。
掲載した内容は、大洲市立肱川風の博物館・歌麿館で開催されている「大洲の鉄道物語展」(入場無料)を参考に作成しています。