第6回「結局が薬局、人生なんて結果オ~ライ 手術の失敗がもたらした大チャンス!」

都会の真ん中で飲まず食わず

入退院を繰り返していたため、何度目の入院のことだったか? でも、あれは最後の入院だったことは確か。オイラが下北沢の自宅から銀座の癌<ガン>病院まで通院という形で放射線治療に挑んでいた退院期のこと。って、わかりづらいッスね、しみません。

とにかく体重がメキメキと減っていき、39 kgという恐ろしい数字を体重計が叩き出そうとしたため、さすがにもう限界。これは白旗と主治医にカミングアウトして助けてもらうことにした。自分ではDOにもならない。

というのも……表向きには自宅療養&リハビリというオイラであったのだが、ぶっちゃけ放射線治療中は何にもしていなかった。いや、正確に言うと何も出来なかった。

それは大袈裟ではなく文字通り。寝て、起きて、放射線遅漏じゃない治療に行って帰ってくるだけ。ひったすら寝てた。寝るだけ。

うん、人生でこんなに寝たことはないな、ってなくらいに寝た。眠り猿。眠り爺自慰。『バイキング』前半に病院から部屋に戻るなりベッドに突入。倒れ込んでそのまま朝の3時くらいまで眠り続ける。

それはもう完璧な眠りでオイラは夢さえ見ることはなかった。睡眠時間はアバウト14時間超え。トイレに数回起きるだけ。脳ミソが真っ白のまま便所によちよち歩き。水分すら取らなかった。ま、これには理由がある。

体力が往復の通院と放射線を浴びることで限界だったのだろう。部屋に戻ると1ミリも1グラムも残ってなかった。

なぜなら、この時期、オイラは食べることも、飲むことすらもままならなかった。約3週間、東京は世田谷区代田という都会に住みながらオイラは飲まず食わずを続けた。

ミイラごっこ

食べられないのはしょうがないとして(?)、飲めないというのは理解不能かもしれない。いや、これが飲めないのだ。うん、飲めない。口にコップなりを持っていくのだが液体を吸い込む、飲み込むことが出来ない。その力がない(笑)。アハハハハ。

えぐいよ~~~。無理やり口に入れてもこぼれてしまう。でも、何もしないよかマシ。だから、オイラはひたすら洗面所で口に水を入れてはこぼし、入れてはこぼしを繰り返していた。うがいする力など皆無。

ウンコは3週間出なかったんじゃないかな? 確かそう記憶している。だって、食べてないんだもんね。出すモノもナッシング。だから、これに関しては気にしていなかった。危険なのは脱水状態になってしまうこと。このことは主治医にも本当~~~~に注意された。

「死にますよ」って(笑)。

だ・か・ら……口でちゃぷちゃぷと水遊び。無理やり口に水を流し込み、こぼす。虚しかったな、あれは。もう、あんな遊びヤだ。何しろ楽しくない(笑)。

食べられないから体重が落ちる、体重が減るから体力が落ちる。そして、疲れやすくなる。悪循環。それにしても、放射線治療がこんなにも身体にダメージを与えてくる強敵とは想像もしていなかった。

だから、寝るだけ。寝ることしか出来ない。でも、寝てるときは幸せだった。1日14時間睡眠。ミイラだな。病人に間違いない。

生々しい写真(笑)

ここまでガリガリくんになったのは人生初のこと

胃に穴を開ける前に穴が開くーーー

ま、さすがのオイラ<馬鹿&阿呆>もこりゃまずいと気づく。主治医はもちろん、いろ~んな人に相談したところ、ここはやはり思い切って胃に穴を開けて、直接に管を通して栄養をぶち込む手術がモアベターと。

やるっきゃないちっち。オイラは泣いちっち。ライブハウスでよく見る何とかちっち。よく見るっていうか「いたね?」って言われて知らないけど「うん」って答えるちっち。

ふうむ。ちっちっち。

少しだけ仲良くなった女性看護師さん<推定年齢43歳/似ている芸能人:大空真弓/性の対象ではない>は会う度に「胃に穴を開けて、栄養取ったほうが絶対にいいと思う。恐いことじゃないから」とオイラに言った。その度毎に「考えてます」とオイラは言う。恐いわけじゃない、嫌なだけだ。

いわゆる“胃ろう”という処置法。口から食事が取れなくなった人向け。これによって食べなくてはいけない! というストレスからは解放される、とのこと。それはデカい。

その時期、オイラは一切モノが食べられなかった。ストレスというかプレッシャー。このままでは餓死もそう遠い話ではない。

胃ろうは避けて通れない。でも、胃に穴を開けるには簡単な手術が必要で、そして、そのためには入院をしないといけない。

入院をすると数週間ではあるけれど、すべてのスケジュールが変わってきてしまう。それをDOしたらいいのかにオイラは悩んだ。

実はこの数週間で、オイラは人生をかけたというのは大袈裟ではあるが、それくらい大きな決断をしなくてはいけなかった。

約20年大切にしてきたこと。オナマシをやるというよりもイノマーをやるうえでの指針というかベースのようなもの。

それを果たしてDOするか……。

オイラにとっていちばん大切な友達(これは間違いではないだろう)との約束をオイラは破ることになるかもしれない。

いや、破ろうとしていた。

心と身体を誤魔化してでもムリして約束を守るか、すべてをさらけ出して本当のことを話して約束を破るか……オイラはこの数週間、ずっと考えていた。

決定は先に先に、先延ばしに。でも、それにも限度というものがある。そんな中、胃の手術&入院でスケジュール変更。

オイラは胃に穴が開くくらいに悩んだ(笑)。

ドウテイ達ノクリスマスイブ中止延期

『“イノマー&ミネタpresents”童貞たちのクリスマス・イブ2019』

今年は約10年ぶりに『童貞たちのクリスマス・イブ』、通称・童クリを密かに行う予定でオイラとミネタくんは暗躍していた(笑)。

チケットも発売日告知にして、ノンプロモーションのゲリラ的にやろう! って。スゲー楽しみにしていた。

年末に20周年記念のアルバムを出して、レコ発をやって、童クリをやって……しゃいこーの2018年フィナーレを迎えるオナマシくんのはずだった。

トホーーーーーーーー。

2019年1月15日、2度目の日本武道館公演を目前に控え、絶好調の銀杏BOYZとの2バン。ただでさえ、死に物狂いでぶつかり合わないと成立しないイベントであるのに、オイラが癌<ガン>でヘロヘロときたもんだ。

歩くのもおぼつかないオイラ。約束を守るためだけにステージに上がっていいものか本当に悩んだ。お客さんはもしかしたら、よくそんな身体で出て来てくれたと喜んでオイラを受け入れてくれるかもしれない。

でも、それじゃダメだ。

オナニーマシーンのイノマーとしてステージに立つのであれば、オイラとお客さん、オイラとミネタくん<銀杏BOYZ>は対等でないといけない。そこに少しでも憐れみのような感情が生じるのなら、それはオイラが考えるライブではない。

ただそこに居ればいい、という考えは危険だ。

もちろん、そういう考え方があるのもわかる。オイラもたまにそう思ったりする人がいたりする。でも、それって失礼な話だよな、とも思う。シャンシャン(パンダちゃん)は別だけどね。ふふふ。

そこに居ればいい。

でも、オイラは違う。全裸になって大声で叫んで、傷だらけになりながらステージ床を転げまわって、汗と唾とローションまみれになってオナニー♪ オナニーと歌う。お客さんの生贄、奴隷がオナマシのイノマーくんだ。

でも、カン違いしないで欲しいのはオイラは死ぬ気でなんてやってない。ステージで死にたいなんて思ったことは一度もない。オイラは生きよう、生きたいと思ってステージに上がり、死ぬギリギリまでパフォーマンスする。

そんだけ(笑)。

死にたくない。痛いの嫌いだし。

せっかく10年ぶりくらいに実現する予定だった童クリもオイラの癌<ガン>の前には……

手術失敗? ガキの使いか?(笑)

2019年11月某日

オイラはオナマシのスタッフを集め、ミネタくんの待つ、銀杏BOYZの事務所へと向かった。

今年の童クリは中止<延期>。

長いこと考えてオイラが出した結論だ。その辺のことはニッキンタマの2018年12月1日付で書いてます。読んでみてくんちゃいませ。

《CM》

そそそ。オナマシのHPはあるけどクソみたいなゴミなんで無視してくんちゃい。カッコ笑いも必要ない。オナマシ&イノマーくんの情報のほっとんどはオイラのブログ、ニッキンタマでチェック4649ですーーー。

ちなみに、童クリのかわりに今年はクリスマスショーを急遽行うことに(笑)。もちろん、ミネタくんと一緒。その辺のこともニッキンタマに書いてありんす。チェキラ。

急遽開催したミネタくんとの共同企画『クリスマスショー』では舌が無いのにトークライブ(笑)

童クリがなくなることが決定した翌週、オイラは胃の手術を受けるため入院した。入院初日の体重は40 kg。もう限界だった。成人男子として既にOUTっていう話も(笑)。

入院の次の日、オイラは胃に穴を開ける手術を受けることに。朝の4時からギンギンのオイラ。ベッドの上で呼び出されるのをひたすら待つのみ。箱型のイメクラを思い出す。

待つ、待つ、待つ、朝ゴハン、昼ゴハン……食べたふり(笑)。じぇんぶゴミ袋へポイ。だって、食べられないんだもん。とにかく、体重が39 kgになる前に……。

「お待たせしました」、手術の準備が整ったとの知らせが入ったのは夕方過ぎ。12時間以上も待たされた。文句のひとつでも言いたかったけれど、心象を悪くするのも問題かと思い、黙って手術室へと。

ベッドに寝たまま運ばれる。こんなん、口腔底癌の10時間デスマッチんときよりも大袈裟じゃんかさ。あんときは歩いて行った。

手術室へと入り、わけのわからない説明を受け、麻酔でアッという間に眠らされ、マッハで起こされる。「呼吸器官が詰まってしまい手術は出来ませんでした」と。

なるほど。手術は出来なかったのね。失敗かしらん? って、どうしてだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?

オマエらプロだろ? そんな小学生みたいな言い訳あるか? ガキの使いだ。

まさかの手術失敗直後のオイラ……10時間の手術に成功して30分の手術に失敗するってどういうことだ?

鼻から管を無理やり胃にブチ込むべし!

何が起こったかわからずベッドのまま元の病室へと運ばれるオイラ。「危なかったです」と看護師さんはつぶやいた。

だから、小声はヤメろ(笑)。

「あの、何があったんですか?」とオイラは病室に戻ってから看護師さんに聞いた。「今、調べてます」とだけ。

1時間後くらいに放射線科の担当医である女医さん<推定年齢32歳/彼氏なし/10年以上セックスレス>がヘラヘラと笑いながらやってきた。「呼吸の気道が確保できなかったみたいですね。つまっちゃったみたいで」と。

それ、窒息死するやつじゃねーか。普通に言いやがる。「判断が遅かったら危険でしたね」と白衣の両ポケットに手をつっこみながら女医さんは笑った。

口から小型カメラを入れてチェックしながら、胃に穴を開ける手術というのが今のオイラの身体では不可能であるらしい。

そんな、サンキュー・ボディになっちゃうじゃんかさ。39kgはさすがにヤバいって。白血球が足りないのか、最近、意識が朦朧とする。「どうしたらいいんッスか?」

「鼻から管を入れて胃に流し入れることにしましょう」と女医さんは人差し指を天井に向け、思い出したかのように言った。

キョトーーンとするオイラ。

「今からやります。ちょっと待っててください」と女医さんは消えた。

つーか、身体に栄養を取り入れるため、そんな簡単な方法があったわけ?

手術失敗のおかげで無事に退院……

数分後、女医さんは仲間数人(BBA3人)を引き連れてやってきた。クソBBAどもにベッドに押さえつけられるオイラ。何も聞かされていない。何が行われるのか?

中年女性特有の加齢臭がする。オイラ、この匂いが苦手だ。癌<ガン>治療で鼻が利きすぎるのも手伝って吐きそうになる。

そんな鼻の穴に管をねじ込む女医さん。

オエーーーーーーーーーーーーーっ。拷問。もはや拷問でしかない。「息を吸って吐いて、落ち着いてくださ~~い」って。ムリだ。何度も鼻から入れた管が口から出る。ほっしゃんか?(笑) オイラ、芸をひとつゲット。

何分くらい管&女医さんと格闘してたんだろ? オイラと女医さんの匂いが混ざり合って4人部屋の病室が異臭騒ぎ。

でも、まー、どうにかこうにか終了。試しにと栄養剤を点滴と同システムで鼻から胃へと流し込む。うん、完璧。久しぶりに胃に栄養が入ってきている。身体が喜んでいるのがハッキリとわかる。

た、助かったーーーーーーーー。

翌日には体重41 kg、3日後には43 kg……夜ゴハンからは口からの固形食事が取れるようになった。おかゆだけどご飯だ。

1週間後には鼻の管も外すことに。鼻から胃の間でガッチガチに固まった管を引っこ抜くのはそれなりに気持ちが悪い痛みがあった。

45 kgで退院。鼻に管が入っていないのがこんなに快適だとは思わなかった。素晴らしい。病院を出て慣れないスキップを踏んだ(マブで)。オナマシの「なか指」を鼻歌で。じぇんじぇん合わなかった(笑)。

病院から下北沢の部屋へと戻る帰り道に思ったこと。胃に穴を開ける手術……失敗して本当に良かった。ダメ医者に感謝。

人生なんてそんなもんだ。

生きてたらまた次回。

4649哀愁デート。

よくわからないかもしれないけど鼻からチューブをぶち込んで胃に栄養を送る装置……邪魔でしょうがなかった

© 有限会社ルーフトップ