積水ハウス、住宅の自然エネ買い取りRE100目指す

積水ハウスは1月31日、同社の戸建住宅や賃貸住宅のオーナー向けに、太陽光で発電した余剰電力を買い取るサービス「積水ハウスオーナーでんき」を始めると発表した。国の固定価格買取制度(FIT)が今年11月から順次、期間終了となることを受けて実施する。買い取った電力は同社オフィスや工場で使用し、事業用電力を100%自然エネルギーで賄う「RE100」の達成を目指す。買取単価は1キロワット時11円の予定で、11月から事業開始を計画している。(オルタナ編集部=堀理雄)

固定価格買取制度(FIT)は、自然エネルギーを一定の価格・期間で買い取ることを国が約束する制度で、2009年に始まった。10キロワット未満の住宅用太陽光の電力買取期間は10年間であり、今年11月から順次買取期間満了(卒FIT)を迎える。

積水ハウスでは、年間の一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指した住宅であるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の取り組みにも力を入れている。2017年度の新築戸建て住宅のZEH比率は76%だ。

今回のサービスは、太陽光パネルを設置した同社の住宅オーナーに、期間満了を迎え売電先のない余剰電力の販売先を提供する一方、その電力を自然エネ100%を目指す同社の事業用電力に充てることで、両者の課題を同時に解決するビジネスモデルだ。

1キロワット時11円という単価は、卒FIT後の電力買取価格としては比較的高めに設定されている。シェアリングエネルギーが実施する同様のサービスでは同8円、スマートテックは同10円だ。売電するオーナー側のメリットも大きい設計になっている。

こうした点について同社広報部の寺澤伸一課長は「これまでの顧客基盤があってこそできるビジネスモデル」と指摘し、こう説明する。「余剰電力を売ってくれる顧客や、その電力の販売先である需要家を探す営業コストがかからない」。住宅オーナーという電力供給者と、自社オフィスや工場での電力使用という需要の両方を持つ同社の強みを生かしたかたちだ。

「住宅は売って終わりではなく、メンテナンスやリフォームなど、建てたあとも(顧客と)ずっとつながりがある。それが今回の取り組みの背景にある」(寺澤課長)

積水ハウスの太陽光発電システムを設置した住宅の年間総発電量は、約700ギガワット時。一方、同社の年間事業用電力は約120ギガワット時だ。約2~3割の電力を買い取れば、自社の事業電力を100%自然エネルギーに転換することが可能になる。

サービスは今年3月に受付を始め、11月から事業開始の予定だ。卒FITを迎えるオーナーは毎年1万件ほどを見込んでおり、順次売電を提案していくという。

同社は2017年10月、事業活動での使用電力を100%自然エネルギーに転換することを目指す国際イニシアティブであるRE100に、国内の建設業界で初めて加盟した。2030年までに50%、2040年までに100%自然エネルギーに転換することを目標に掲げている。

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