福井知事選、二階幹事長の発言波紋

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今春の福井県知事選への出馬を表明している前副知事の杉本達治氏(右)、現職の西川一誠氏(左)

 保守分裂選挙の様相を呈している春の福井県知事選を巡り、二階俊博自民党幹事長の発言が波紋を広げている。自民党福井県連が党本部に前副知事の杉本達治氏(56)を推薦するよう上申してから2カ月過ぎた1月31日、二階氏は5選を目指す現職の西川一誠氏(74)に「党本部としては(杉本氏の)推薦を見送る公算」と伝えたからだ。これに対し、県連執行部には「なぜ推薦が出ないのか」という動揺や反発の声が入り交じる。2月10日の党大会までに判断が下されるとの見方もある中、混迷を深めてきた推薦問題はどう着地するのか―。

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 ■「実態を見た判断を」

 「間もなく(杉本氏への推薦が)出るはずではなかったのか。党本部に確認してほしい」。福井県繊協ビル(福井市)で1日午前10時半から非公開で行われた県連執行部会の冒頭、二階氏の発言を巡るやりとりが廊下に漏れ聞こえた。会合後に会見した山崎正昭会長は「『会長は何をやっているのか』とお叱りを受けた。二階氏に確認しに行かないといけないと思う」と述べた。

 山崎会長は、県農政連が杉本氏への推薦を決めた1月11日の会合後、記者団に対し前日の10日に党幹部と面談した際に間もなく推薦を出すとの返答があったと話していた。それだけに、今回の二階氏の発言は信じられない様子で「西川氏から支援要請を受けても『はいそうですか』とは言わないと思う」と述べた。

 さらに「(党本部に杉本氏を推薦するよう上申してから)もう2カ月。こういうことをしていると党のガバナンスの問題も問われるようになる。こんな状態では不満が噴出する。もう少し丁寧な指導や発言があってもいいと思う」と眉間にしわを寄せた。西川氏と二階氏の距離の近い関係にも触れ「二階氏は浪花節の考えをそろそろお捨てになってはどうか。実態を見た判断を願う」と語気を強めた。

 会見に同席した斉藤新緑幹事長も「党本部の決定が長引き、逆に県連を混乱させる要因になっている。党本部は、県連に候補者の一本化へ努力しろというが、党本部が推薦を決めれば、すぐにでも一本化できる」といらだった。

 ■「県連の混乱を憂慮」

 西川氏は、1日午前10時半から福井県国際交流会館(福井市)で開かれた県経済新戦略推進本部会議に出席した。会議が終了した正午ごろ、記者団の取材に応じた。

 二階氏との会談内容を問われた西川氏は「県連の推薦手続きや運営の仕方など、いろいろ課題があって混乱を招いている。そのことをかなり憂慮されていた」と述べた。さらに「福井県の場合、春の統一地方選が夏の参院選に与える影響はあまりないという認識もお持ちのようだった。全体の状況の中で(杉本氏の)推薦の議論は、これから最終的に決めることになると思うが、見送る公算が大きいとの印象を受けた」と語った。

 二階氏から「現職の西川氏を引き続き応援したい。しっかり頑張ってくれ」と激励されたことも明かした。

 県経済新戦略推進本部会議には、西川氏を推薦している県経済団体連合会の川田達男会長も本部長として出席していた。会議終了後、福井新聞の取材に対し「党としてどちらかの推薦をしないということだろう。2人とももらえないのはイーブンということだ」と冷静に受け止めた。その上で「県民の皆さんに判断してもらえるよう、県のため、県民のために何をしないといけないかが一番の論点にならないといけない。われわれは、その観点で具体的に提案していく」と話した。

 結論はいつ出るのか。告示日3月21日の約1カ月半前となる2月10日の党大会までには、判断が下されるとの見方がもっぱらだ。福井県知事選と同じく保守分裂選挙の様相を呈している福岡県知事選では、党本部は新人に推薦を出した。党幹部の一人は「地域それぞれで事情が異なる」とした上でこう述べた。「いずれにしても、もう少しで判断することになると思う」