ロッテ鬼軍曹が求めた「走塁への意識」 紅白戦成果に指揮官満足も“愛ある檄”

ロッテ・井口資仁監督【写真提供:(C)PLM】

井口監督は選手の努力に敬意、紅白戦MVPは「全員」

 12球団でロッテだけが2月1日に紅白戦を実施した。選手たちはこの日のために体を作り上げ、プレーをした。メッセージ通りに鍛えてきた選手たち。その動きに井口資仁監督は目を細めた。

「選手全員にMVPをあげたい。初日から紅白戦というのは今までになかったことだから難しかったと思うけど、よく調整をしてきてくれた。若い選手もアピールをしてくれた。それが競争となり、刺激となり、チームの底上げにつながる」

 紅白戦後に行ったマスコミの記者会見でMVPを聞かれた指揮官はあえて「全員」と答えた。それほど選手たちの動きに満足をしていた。いろいろな関係者からの報告で知っていた。いつもは閑散としている1、2軍の球場にこのオフは多くの選手たちが姿を現していたことを。投手は肩を作り、野手はバットを振り込み、この日を迎えた。選手たちが見えないところで重ねた努力に対して素直に敬意を表した。

 指揮官は合格点を口にした中で、鬼軍曹はあえて苦言を呈することを忘れなかった。終了直後、鳥越裕介ヘッドコーチは走塁での意識を選手たちに問うた。

「走者二塁の場面でセンター奥深くのフライが上がり、走者はタッチアップをした。しかし、あそこはあわよくばホームまで陥れるという意識をもって走ってほしかった。何が起こるか分からないわけだから。そういう意識で練習から取り組んでほしい。最初から三塁までという先入観を持つのではなく、その先の塁へという気持ちでお願いしたい」

今季も積極的走塁は継続、鳥越ヘッド「ちょっとした隙間から1点を奪う」

 井口マリーンズが昨年から掲げている積極的走塁は、今年も継続していく。必要なのは盗塁数の積み重ねだけではない。次の塁を狙う貪欲な姿勢。相手のミスに漬け込む走塁だ。だから、走塁の話になると熱が入る。鳥越ヘッドは続けた。

「1点を取るのにも、1点を守るのにも、もっと貪欲であってほしい。ただ気持ちよく打つというだけでは駄目。ちょっとした隙間から1点を奪う。そういう意識をあらゆるプレーで見せてほしい。毎回、面白いように打って勝てる試合ではない」

 インプレー中に、何が起こるか分からない。予想もしないエラーもあれば、相手のちょっとした隙も生じる。それに乗じてプレーをする。実戦形式の練習の中でその意識を野手陣にあらためて求めた。鳥越ヘッドが代弁する形だったが、それこそが井口マリーンズの在り方だ。

「相手がミスをするわけがないというような意識でボールから目を離している時がある。そうではなくて逆。何かミスが起きるのではないかという意識でいつも備えていてほしい」

 キャンプ初日。濃い時間は過ぎた。グラウンドに出てきたのは8時。最後の選手が帰路についたのも20時。12時間にわたる鍛錬の初日が終わった。集中した時間が過ぎた。自分を追い込まない限り、新たな道は開けない。井口マリーンズのキャンプが始まった。(マリーンズ球団広報 梶原紀章)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

© 株式会社Creative2