子ども自身から相談も オンブズパーソン設立8カ月 厳しい運営の中で手応え

 いじめや虐待などに苦しむ子どもの救済に取り組む民間団体「子どもの権利オンブズパーソンながさき」(長崎県長崎市、古豊慶彦代表)が設立から8カ月を迎えた。相談してきた子どもに相談員が会い、問題を解決したり、継続的な支援を続けたりしている。古豊代表は「相談体制を充実させて、より多くの子どもの声をすくい上げていきたい」と話す。

 同団体は電話やメールなどで相談を受け、学校や行政のほか、医療や法律の専門家(オンブズパーソン)らにつなぎ、問題解決を目指している。

 古豊代表によると、8カ月で寄せられた相談は約20件。このうち相談員が相談者と会ったのは10件で、内容はいじめや不登校などさまざま。3件は子ども自身からの電話だった。ある小学生は「お父さんとお母さんの仲が悪くて困っている」と相談。母親が家を出てしまい、兄弟だけで過ごす時間が増え、寂しさからの電話だった。相談員がすぐに学校側に連絡。情報を共有し、当該児童の見守り態勢を整えた。

 「子どもから直接電話がかかってきたのは大きな一歩。大人から見れば小さな問題でも、本人にとって大問題のこともあり、『誰かに話を聞いてもらいたい』という需要はあると感じている」と古豊代表。

 団体関係者は複数の個別事案を解決して手応えをつかむ一方で、運営の厳しさにも直面している。

 これまで運営基金への寄付(1口千円)を頼りに、長崎県長崎市川口町に「オンブズルーム」と呼ぶ相談窓口を設けていたが、資金不足などを理由に1月末に移転した。2月2日から長崎市大黒町の「NPO法人県子ども劇場連絡会」事務所の一角に暫定的に設け、今後、適当な場所が見つかり次第、再移転する予定だ。

 運営が安定すれば、相談員の数やオンブズルームの開所日を増やしたりすることも可能になる。古豊代表は「ルームに使えそうな場所の情報提供や、運営に関する知恵を貸してもらえるとありがたい」と市民らに協力を呼び掛けている。

 オンブズルームは移転前と変わらず、水曜(午前11時~午後7時)、木曜(午後6時~9時)、土曜(午後2時~6時)の週3回開き、相談員が無料で対応する。専用電話(080.3187.9156)、メール(komb.nagasaki@gmail.com)でも相談を受け付けている。

「NPO法人県子ども劇場連絡会」事務所の一角に設けられたオンブズルーム=長崎市大黒町

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