かつてウィークポイントとされたものの、今や大激戦区と化している日本代表のセンターバック。
この1年だけで5名もの日本人が欧州へと旅立っており、なかでもその先陣を切った20歳の冨安健洋はアジアカップでMVP級の働きを見せた。
しかし、国内には彼らの才能に勝るとも劣らない怪物級のセンターバックたちが控えている。今回はそんな5名を紹介しよう。
立田 悠悟(清水エスパルス)
立田は「吉田麻也の後継者」となる可能性を大いに秘めている。
昨年のアジア大会で冨安、中山雄太が不在のなか、DFリーダーとして銀メダル獲得の立役者に。決勝の韓国戦では、ソン・フンミン、ファン・ウィジョらワールドクラスのFWを相手に流れの中で決定的な仕事をさせなかった。
清水では右サイドバックで起用されているものの、189cmという圧倒的な高さを生かした空中戦、速度のあるフィードやカバーリング能力はセンターバックとして使わなければ宝の持ち腐れになる。
アジア大会でともにプレーした板倉滉がマンチェスター・シティと契約したことについて、彼も何か思うところがあるはずだ。
橋岡 大樹(浦和レッズ)
浦和の下部組織出身で、U-20日本代表のDFリーダーを務める橋岡。
プロ初年度となった昨年は右ウィングバックでレギュラーを獲得したが、U-20ではセンターバックを任されており、本人としても中央で勝負していく気持ちが強い。
父親は野球、母親はバレーボールの選手であり、従兄弟の橋岡優輝は東京五輪を目指す陸上選手というアスリート一族の出身。上背こそないものの天性の運動能力と球際の強さは「世界の水準」といっていいだろう。
今年はU-20ワールドカップを見据えながらの1年となる。しかし堂安、冨安の活躍には大いに刺激を受けており、東京五輪はもちろん、A代表入りも狙っていきたい。
関川 郁万(鹿島アントラーズ)
先日閉幕した全国高校サッカー選手権で最も脚光を浴びた一人が流経大柏の関川だ。
頑強な肉体と対人戦の強さを武器とするセンターバックで、特にその太い首と高い打点から繰り出される強烈なヘディングは高校レベルを超越しており、青森山田との決勝戦でも先制となるゴールを決めた。
選手権では準優勝に終わったが既に頭はプロに切り替わっている。今年から秋田豊、大岩剛、岩政大樹ら武骨なDFを育てた実績のある鹿島でプレーすることになる。
高校とは全く違うレベルでの戦いとなるが、植田直通、昌子源が抜けたポジションを1年目から引っ張ってほしいものである。
大﨑 玲央(ヴィッセル神戸)
若手ではないものの、大﨑もスケールの非常に大きなセンターバックだ。
彼は横浜FCのユース出身だが大学を経て渡米し、独立リーグでプレーした後に逆輸入の形で横浜FCへ。一昨年からはスペイン人リカルド・ロドリゲス監督を率いるJ2の徳島ヴォルティスで中心として活躍した。
そして昨夏、「スペイン化」を推し進める神戸へ加入することに。多くの日本人が大物外国人たちに弾き出されるなか、ポゼッションサッカーを実践するリージョのチームで重要な選手となっている。
187cmという大型ながら元々はボランチを務めており、足技やパスを供給する能力に優れる。27歳という年齢ではあるが、ここから大きな飛躍を期待したい。
三國 ケネディエブス(アビスパ福岡)
選手権を制覇した青森山田で主力を務めた長身センターバック。
ナイジェリア人の父親を持つ彼はもともとFWやサイドアタッカーであったが、「このままではプロになれない」と一昨年に自ら直訴しセンターバックへ転向することに。それが大成功し、昨年アビスパ福岡から内定を受けた。
一説には195cmとも言われる高さは高校はもちろん、アジアで無敵のレベルにある。また、スピードもあり、両足から繰り出される速度のあるパスも魅力である。
ただ経験が浅く背後の守備やポジショニングなどに課題も。今回、紹介する中では唯一J2の選手となるが、その潜在能力は“怪物”と呼ぶに相応しい逸材だ。