「競争がチームを強くする」 辻監督×松沼博久氏対談「監督には見る目がある」

西武・辻発彦監督(左)とOBの松沼博久氏【写真提供:文化放送】

投手力以上に重視する、「戦うチームとしての力」

 2018年は開幕から一度も首位の座を譲らず、圧巻の強さで10年ぶりのリーグ制覇を果たした埼玉西武。文化放送「ライオンズエクスプレス」で放送された、連覇に挑む辻発彦監督と、「ライオンズナイター」の解説も務める球団OBの松沼博久氏の対談の模様をお届けしたい。

――2018年は強力打線を「獅子おどし打線」と辻監督が命名

 辻監督「『獅子○○』といったらピンと『鹿威(ししおど)し』が出てきて、言ったらそうなっちゃったみたい。僕のイメージとしては落ちっぱなしじゃない、落ちても這い上がる。絶対に上にあがってやるという意味合いでしたね」

――防御率は4.24とリーグワーストに

 辻監督「そう上手くはいかないですよ。だから戦うチームとしての力ですよね。(2019年は)もちろん防御率を下げないといけないですが、それ以上に点を取れば勝てるわけで、お互いにカバーし合って戦わないと勝利に近づいてはいかないですね」

――強力打線がバックだと投手陣も思い切り投げられるのでは?

 松沼氏「昨年は四球が絡んだりして、思い切って投げてくれる投手が少なかったのに優勝できました。今年は打線を信じて楽な気持ちで投げられれば、かなりまとまると思います」

 辻監督「戦い方は今年も一緒です。点は必ず取られるでしょうが、うちも取ります。1点を取られたら、次の1点をいかにして抑えるか。次の1点を大事に戦う、これしかないと思います」

浅村選手の穴を埋める、辻監督の「見る目」に期待

――打点王を獲得した浅村選手が抜けました

 松沼氏「これは痛いです。ただ誰が出てくるかと思うと色々考えるじゃないですか。(その選手が)活躍すると『さすが辻監督、見る目がある』っていう評価になりますよね」

 辻監督「僕に懸かっているということですね(笑)」

 松沼氏「辻監督になってから『この選手を使う』と使い続けた外崎らがしっかり結果を残しているじゃないですか。僕は『辻監督には見る目がある』と思うので、きっとまたすごい選手が出てくる。ものすごい期待感があってね、待ち遠しいですよね」

――外崎は源田と二遊間コンビの可能性も

 辻監督「彼はどこでもできますし、普通に考えれば二塁手ですよね。でも決まっているわけではないです。いろんな選手にチャンスはありますし、源田じゃないですけど、ルーキーのセカンド(山野辺翔)も取りました。柳の下にドジョウは2匹いないかもしれませんけど、ちゃんと技量を見て『いける』と考えたら可能性もあります。(開幕スタメンは昨年とは)ある程度は変わらないですが、3番打者が抜けました。3番打者は秋山や森もいます。でも森の勝負強さを考えたら5番、6番あたりがいいのかなあと思うこともありますし、栗山や中村も昨年の開眼、復調を思うと考えさせられますね」

 松沼氏「メヒアはどうですか」

 辻監督「手首を完璧にして帰ってくればDHで考えられる。それだけの結果を出してもらわないと困ります」

 松沼氏「彼が本領発揮って、本領が何かよくわかってないですけど(笑)」

――2014年には本塁打王のタイトルを取りました

 辻監督「僕はその時は(埼玉西武に)いなかったので、全然わかんないです(笑)。そう考えるとやっぱり、競争は厳しいですよね。ただ、それが一番チームを変えるというか、強くしていくと思いますよ」

「常勝」の2文字を取り戻すために

――2019年、ライオンズは当然リーグ連覇を狙います

 松沼氏「10年に1度というジンクスをね、なんとかしてくれないと(笑)。常勝に憧れているわけです。だから辻監督にお願いして、ずっとチームを引っ張っていってもらいたいですよね」

――辻監督は「常勝」という2文字は?

 辻監督「一段一段登ってきてハードルが毎年高くなっていきますけど、これはファンの方としては望まれるのは間違いないし、我々もそうなりたいという気持ちはもちろん持っています。連覇、この一点に集中して今シーズンも戦い抜きたいと思います」(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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