住民参加ダンス、有名人起用… 自治体 PR動画に熱 成否目安は再生1万回

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水戸市が公開しているPR動画「みとちゃんダンス」(2014年撮影)

■拡散へ工夫必要

移住や来訪を促そうと市町村が制作するPR動画が花盛りだ。住民を巻き込んでオリジナルのダンスをしたり有名人を起用したりして、見てもらえる工夫を凝らす。ただ、再生回数が1000回に満たない動画が過半数という調査もあり、識者は「作ることだけが目的になってはいけない」と指摘。制作費の相場が数百万円とされる中、コスト対効果の意識が求められそうだ。(水戸支社・鈴木剛史)

■踊ってみた

「もっともっとmeetみとちゃん」。偕楽園や千波湖といった水戸市の名所で市民らが踊る。市が2014年に公開したPR動画だ。県内市町村による動画の先駆け的存在で、投稿サイト「YouTube」での再生回数は約16万回(1日現在)。30団体・600人が出演する。背景に流れるのは、市のマスコットキャラ「みとちゃん」のイメージソングで、市職員有志が作詞作曲から演奏歌唱まで担った。ダンスも市小学校体育連盟が振り付け。総費用は約50万円に収まった。

小学校の体育にダンスが取り入れられ、市内のイベントで市民らが披露する機会もある。キーボードを担当した市みとの魅力発信課の平戸正英係長は「地元愛を育むという面で効果は大きい」と話す。

■ドラマ仕立て

大洗町は16年度から、新日本プロレスで活躍した蝶野正洋さんが登場する動画をシリーズで公開している。蝶野さんは、町が舞台の人気アニメ「ガールズ&パンツァー」のファンであることなどを縁に大洗大使に委嘱された。動画では町民との交流や観光スポットを紹介。これまでに13本をYouTubeに投稿した。

桜川市は、地域活性化の柱に据えるヤマザクラを取り上げドラマ仕立ての動画にした。市出身で、都内で働く女性が桜の季節に里帰りする筋書き。

16年9月に公開し再生回数は1日現在で約1万4千回。市ヤマザクラ課は「市内外のイベントで放送すると『きれい』『行ってみたい』との声をいただく」と強調した。

■1000回未満が大半

PR動画を作成する市町村が相次ぐ一方、再生回数の伸び悩みも課題だ。広報戦略コンサルを担う「ぐろ〜かるCM研究所」(東京)が全国5450本の動画から200本を抽出して行った調査では、再生回数が千回に満たない動画が過半数だった。1万回を突破できたのは、14.5%にとどまった。

PR動画は13年ごろに四国・九州地方を皮切りに全国的に拡大。近年は国が制作費の補助を始め、現在は年間で千本程度の動画が作られているという。

鷹野義昭所長(55)は「再生回数は大切な指標で1万回が成否の一つの目安。注目されず千回にも満たないようではPRの効率が悪く税金の無駄遣いになる」と訴える。「今は過渡期に当たる。『作る』から『拡散』への動線づくりが必要。移住や来訪を後押しになる動画を目指すべき」と話した。