広島ドラ6正隨、高校、大学を経て感じた成長 1軍キャンプを掴んだ大砲候補

キャンプ2日目に臨んだ広島・正隨優弥(左)【写真:沢井史】

大阪桐蔭では14夏の甲子園で優勝、亜大では1年春からリーグ戦出場

 広島のドラフト6位ルーキー・正隨優弥外野手は、充実したキャンプ生活を送っているようだ。2日目を消化したばかりなのにそう思えたのは、練習中の表情を見ているととても生き生きしているように見えたからだ。

 昨秋、大学のリーグ戦が終わると4年生は現役引退となり、練習をする場合は自主練習扱いになる。もちろん卒業後も野球を続ける選手は進んで練習するのがほとんどだが、練習の内容は自分のペース。中1日で練習する者もいれば、がっつり練習する者もいる。

 そんな中、正隨はプロに行くことを前提に現役を引退しても練習に没頭。12月23日に退寮して地元の広島に帰ると、かねてから付き合いのあるトレーナーのところへ出向き、体作りに励んだ。準備万端で1月5日に入寮。

「新人合同自主トレーニングに合わせて体をしっかり作ってきたことが良かったです」

 その甲斐があって1軍キャンプに抜てきされ、同じ外野手の松山竜平ら今までは雲の上の存在だった先輩たちと共に汗を流している。

東出打撃コーチ「これだけ良いスイングが出来る選手は繊細なことが多い」

 中田翔(日本ハム)に憧れて進んだ大阪桐蔭では4番打者として14年夏の甲子園で優勝したことは記憶に新しい。亜大に進むと1年春からリーグ戦に出場し、4年秋のラストシーズンまでの全8季に出場し、3年秋にはベストナインにも輝いている。

 高校時代の正隨選手の印象は寡黙で、どちらかというと表に出るタイプではなかった。夏の甲子園優勝後にレギュラー数人をまじえた座談会風の取材をしたことがあったが、明るい選手が多い中で、進んで発言はほとんどせず、チームメイトの話を笑顔で聞いている方だった。

 だが、大学で着実に実績を積み、自信もついたのだろう。ルーキーでもチームメイトに積極的に話しかけ、同じ新入団で唯一高卒であるドラフト1位の小園海斗とはよく並んで歩いている姿も見受けられた。キャンプ初日には球場内の入り口でばったり記者と出会い「お久しぶりです」と丁寧に挨拶してくれた表情にも、彼の律儀さがにじみ出ていた。

 東出打撃コーチは正隨について「良いスイングをしているけれど、これだけ良いスイングが出来る選手は繊細なことが多い。うまく打とうと思いすぎると崩れてしまう」と本音を語ったが、スケールの大きさは認めている。3日で今春キャンプの第1クールは終わるが、期待値の高いルーキーのこれからの歩みは果たしてどうなっていくのか。背番号「49」の一挙一動に目が離せない。(沢井史 / Fumi Sawai)

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