【社会最前線】「書を開きにまちへ出よう」本のまち八戸の取り組み

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 「本のまち八戸」を掲げる八戸市。糠塚にある市立図書館(本館)は、分館の南郷図書館と図書情報センター(八戸駅構内)、公民館内の分室、移動図書館と連携しながら、「いつでも どこでも だれでも」利用できる図書館を目指している。

 ◆市立図書館

 市立図書館は、旧八戸藩士らによって設立された八戸書籍縦覧所を前身とし、1984年に開館。青森県や市指定の貴重な資料を多く所蔵する。千葉玲子館長によると、市史編さんのために収集した古文書などは7万点近い。

 学生の利用について、掛端真裕美副館長は「10代は学生席の利用はあるが、貸し出しには結び付いていないのが現状」と話す。1階のティーンズコーナーでは、10代が興味を持ちそうな本を充実させるなど工夫を凝らしている。

 本館のほか、鮫、湊、上長、館の4公民館と是川団地中央集会所の計5施設内に分室を設置。地域のボランティアが週1、2日、運営している。

 移動図書館は、専用バスに3千冊を積んで市内計50カ所を循環する。小学校や老人ホームなどを中心に回り、1人7冊まで貸し出す。貸出期間は次の巡回日まで。本館、分館への返却も可能だ。

 ◆市立南郷図書館

 2005年2月に南郷村立図書館として開館し、翌3月に市との合併で市立南郷図書館となった。

 館内は所々に“南郷色”が感じられる造り。入り口の自動ドアは南郷のシンボルツリーのアカマツを使用。ジャズコーナーはレンガの壁とスタジオ風ライトで空間を演出。特産のブルーベリーやそばの資料コーナーも設けている。

 昼は外光で明るく、夜は間接照明で隠れ家のような「ふわっと柔らかい雰囲気になる」と佐藤祐子館長。子どもの調べ物学習を促進するため、「今月のお題」コーナーも設置。問題に正解するとスタッフ考案のマスコット「ぶるちゃん」のシールをもらえる。

 佐藤館長は「本を開けば答えがあるということを、子どもたちが楽しみながら分かってくれたら」と思いを込める。

 ◆図書情報センター

 東北新幹線八戸駅の開業に伴い、東口側に02年に開館した。大久保友子チーフによると、「列車の乗降者の待ち時間を想定して、視聴覚物や雑誌をそろえている」。CDやDVDは6千点以上、雑誌は100誌以上ある。

 駅は観光客が行き来する場所。郷土資料コーナーや観光パンフレット、地域に関連する新聞記事のスクラップにも力を入れている。

 夕方には、通学の高校生らで学習席が埋まることも。八戸北高に通う男子生徒(3年)は帰りの列車待ち時間にセンターを利用。「2年の冬まで西口を使っていたので来たことがなかった。知ってからは勉強のために使っている」という。

 ◆それぞれの連携

 本館、分館の計3館は利用者層などを考慮して強みが異なる。本館の千葉館長は今後、3館で連携してみたい取り組みとして「それぞれが持っている資料を動かしてみたら面白いだろう」と話す。

 さらに市内には八戸ブックセンターやカフェ併設の書店などがある。千葉館長は「本でまちを盛り上げるのが一つの目的」とし、「ブックセンターとイベントを共催したり、互いのポスターを掲示し合ったりし、連携した取り組みを行っている」と説明した。

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