インフルエンザの新薬「ゾフルーザ」効果と副作用は?

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インフルエンザ治療薬のゾフルーザ。タミフルやイナビル、ラピアクタなどのインフルエンザ治療薬との違い、機序、効果、用法用量、副作用について解説します。

インフルエンザ新薬「ゾフルーザ」とは

インフルエンザ治療薬として、タミフルやイナビルなど様々な薬剤が使われており、皆さまも一度は使用したり、目にしたりした経験があるのではないかと思います。2018年3月に塩野義製薬から発売されたゾフルーザは、インフルエンザ治療薬として今までとは少し違う新しい作用になります。基本情報について詳しく解説します。

従来のインフルエンザ治療薬とゾフルーザの違い

これまでのインフルエンザ治療薬とゾフルーザの違いとして、まずは作用の面から解説します。ごく簡単に言いますと、

■これまでの薬……インフルエンザウイルスが細胞の中で増殖するものの、細胞からウイルスが出ていくのを阻害する

■ゾフルーザ……インフルエンザウイルスが細胞の中で増殖するのを抑える

と言えるでしょう。結果として、両剤ともに他の細胞には感染しなくなり、ウイルスの増殖を抑え、インフルエンザの症状を緩和して、服用しない場合に比べるとやや短い期間に症状を短縮することができます。

※臨床試験の結果では、ゾフルーザの方が細胞内での増殖を抑制するためか、ウイルスが消えていく(出ていく)時間が早く、タミフルは72時間、ゾフルーザは24時間と報告されています。一方で、早くウイルスが消失するものの、学校や保育園などでは登校禁止・登園禁止期間が定められており、ゾフルーザを使ったからといって期間が変わるわけではありません。現在も医師の判断による部分もあるようですが、今後は5日という期間も見直される可能性もありそうです。

ゾフルーザの服用回数・他の抗インフルエンザ薬との比較

ゾフルーザは飲む(使う)回数も違います。インフルエンザ治療薬の使用回数などを一覧で見てみましょう。

・タミフル……1日2回、5日間服用

・リレンザ……1日2回、5日間吸入

・イナビル……1回使用(成人及び10歳以上の小児は1回2容器。1容器につき2回吸入するので計4吸入。10歳未満の小児は1回1容器で2吸入)

・ラピアクタ……点滴を1回、診療所などで行う

・ゾフルーザ……1回服用、年齢・体重によって大人でも錠数が異なる

もう既に使っていらっしゃる方もいると思いますが、処方せんを薬局に持って行くと、薬局でその場で飲むように指導されるかと思います。その1回の服用で終わりです。

タミフル・ゾフルーザの薬価

薬剤費の目安ですが、保険診療の3割負担でタミフルは約820円(ジェネリックは410円程度)、ゾフルーザは1440円ぐらいになります(2018年薬価ベース)。ただ、実際には薬の値段以外に、病院・診療所で診察代や検査代など、調剤薬局で調剤費や情報管理費などもかかります。

タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタ・ゾフルーザの使い分け

上記の使い分けとしては、医師の判断にもよりますのであくまでも参考ですが、一般的には、薬を飲める状態かどうかで判断されることが多いと考えられます。

例えば、吐き気がある場合には、1回服用のゾフルーザを飲んで吐いてしまうと、服用のし直しができない可能性があります。吐き戻しのリスクを避けるために、吸入薬や点滴のお薬が検討されます。また、子供でまだ錠剤が飲めない場合は、顆粒のタミフルや、吸引ができるようならイナビルが処方されます。症状や状態に応じて医師とお話ししていただければと思います。

新薬ゾフルーザの効能効果・用法用量

■ゾフルーザの効能効果

インフルエンザ治療薬です。病院でインフルエンザかどうかチェックをしてインフルエンザウイルスが検出されたら使うお薬になります。

■ゾフルーザの用法用量

成人及び12歳以上の小児には1回20mgの錠剤を2錠服用

80kg以上の成人には、1回20mgの錠剤を4錠服用

12歳未満の小児は体重によって異なりますが、10kg以上から服用できます。

ゾフルーザの予防投与

ゾフルーザの予防投与に関しては、2019年1月現在では承認が取れていません。もし予防で飲まれるのであれば、予防投与が認められているインフルエンザ治療薬を医師と相談して服用してください。ただし、保険は適用されず自費になるかと思います。

乳児・妊婦・授乳中・高齢者のゾフルーザの服用可否

乳児はまだ承認が取れていませんので服用することはできません。

妊婦に対しては安全性が確立されていませんので、医師がメリットとデメリットを考え、飲むメリットが上回った場合には処方することがあります(有益性投与)。授乳中に服用する場合は、授乳を避けるようにとなっています。妊娠の可能性がある方や、妊婦、授乳婦の方は、医師とよく相談していただければと思います。

高齢者の場合は人それぞれですが、肝臓や腎臓の機能が年齢とともに低下している可能性もあります。使用するかしないか、服用量については医師の判断に従ってください。

ゾフルーザの副作用

臨床試験の結果ですが、ゾフルーザの副作用は5.4%(910例中49例)でみられ、主な副作用は下痢が1.3%でした。また、世界に先駆けて日本で承認された薬ですので、まだこれから何か他の副作用が出る可能性はゼロではありません。服用して、何か変だと感じた場合は直ぐに医師や薬剤師にお伝えください。ご自身で副作用を直接報告する制度もあります。

錠剤のゾフルーザをつぶして、顆粒状にして服薬することの可否

ゾフルーザは、子供や高齢者が比較的飲みやすい顆粒も承認されていますが、2018~19年のシーズンは発売を見送られたようです。そのため錠剤をつぶして細かくして飲ませてもよいかという声も聞かれます。

粉砕して24時間以内にすぐ服用する場合は効果(成分)が変わらないため、つぶして服用することもできるようですが、あくまでも主治医や担当の薬剤師と決めていただくのが前提で、一般的な方法として推奨することはできません。

ゾフルーザの耐性株に関する情報

ゾフルーザの耐性株が検出されたとの報告がありました(2019年1月24日国立感染研究所)。2018年12月、横浜市の小児2例で確認されたようです。

ゾフルーザの臨床試験の段階でも、370例中36例でアミノ酸変異が検出され、変異があった患者には3日後以降に一過性にウイルスの力価が上昇するというデータはありました(ゾフルーザのインタビューフォームより一部概要を記載)。

これらに関して、ゾフルーザの使用を慎重にしている医療機関もあります。

インフルエンザの薬の使用については、重症になりそうな患者(65歳以上高齢者や3歳未満の幼児、免疫低下がみられる人など)には積極的に使うことが多いですが、そうでないときには使わないことや、既存の薬剤を用いる場合もあるかと思います。医師が診察の上、色々な側面を考慮して服用の有無、どのような薬を処方するかが決まります。

「インフルエンザの重症化」とは……合併症を引き起こした状態

なお、インフルエンザの「重症」「重症化」という言葉をよく耳にされると思いますが、これらは肺炎や気管支炎などの合併症を引き起して、より酷くなったり、死亡に至ったりするような状態です。合併症ではなく、高熱や非常につらい状態になることを重症化したと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは、あくまでもインフルエンザの症状で重症化という意味には使いませんので、知っておくといいかもしれませんね。

ゾフルーザに関するその他の情報(2019年1月18日現在)

また、個人的な視点ですが、最近までアメリカに滞在していたため、アメリカでのインフルエンザ対策やゾフルーザに関する状況もご紹介したいと思います(東海岸の一部でのことで、アメリカ全体には当てはまりませんが)。

ゾフルーザはアメリカで昨年末(2018年10月25日)に承認を受けていますが、2018年12月末時点では発売されていませんでした。私のいた東海岸周辺ではインフルエンザ治療薬を出す・出さないでも医師によって見解が異なっており、インフルエンザと分かっても処方しない医師も一定数いました。

あくまでも私見ですが、現地で周りに住んでいた日本人家族間では、子供がインフルエンザになった場合などには治療薬を処方してくれる医師、しない医師の情報が共有されており、薬を処方してくれる医師を受診する傾向がありました。

日本人はインフルエンザ治療薬としてタミフルをよく知っていることと、インフルエンザに罹った場合はすぐに治療薬を処方されてきた世代ということもあるからかもしれません。医療保険や自費の関係からか、比較的安いタミフルの処方しか周りでは聞いたことはありませんでした。

また、インフルエンザ予防としてアメリカではワクチン接種が8~9月ぐらいから始まっていました。私も9月頃にまだ打っていないんですか?と言われたほどで、11月頃から打ち始める日本の感覚でいたため少なからず驚きました。州や郡(カウンティ―)によっても異なると思いますが、幼稚園、保育園は自治体の指導によりワクチン接種の証明書を提出しなければ登園不可のようでした。

1月初旬に群から連絡があるのか、1月初めまでには遅くとも提出するように求められました。なお、注射の打ち方が日本と異なり、親指でペンを押すように上から振りかぶって(怖いので特にそう感じます)注射されます。州にもよりますが、近くの薬局でも気軽に摂取できます。

このように、アメリカでも日本と同様、インフルエンザは多くの人が脅威に感じて予防をしているいるようで、流行状況を気にしている様子が見られました。一方で、日本のようにマスクをしている人はほとんど見かけませんでした。

マスクの感染予防効果についての考え方もあるでしょうし、テレワークが日本よりも一般的な分、インフルエンザはもちろんそのような疑いがある段階で休み、自宅で最低限の作業ができる環境や車通勤、広いオフィス空間なども背景にあるのかもしれません。

最後はコラムのようになってしまいましたが、インフルエンザは予防もとても大事です。水分補給、睡眠などの生活習慣、手洗いなどを実施して、それぞれにできる方法でしっかりと予防していただければと思います。

(文:三上 彰貴子(薬剤師))