室蘭八幡宮【31】

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クジラ資金に現在地移転

「鯨八幡」の愛称を持つ室蘭八幡宮

 室蘭八幡宮(室蘭市海岸町、奈良守房宮司)は、旧暦の1868年(明治元年)8月15日に、現在の崎守神社の場所に、室蘭郡支配総鎮守として、函館八幡宮から分霊を拝して建立された。明治政府が神仏分離令を出し、正式な神社となった。

 正式に分霊された証拠として木製の瓶子一対が贈られた。このほか、石斧や砲弾、神像、太刀「皇丸」、刀剣、絵馬などが社宝や準社宝となっている。

 75年には現在の場所に移動。「郷社八幡神社」となった。クジラを売って移転資金としたため「鯨八幡」と愛称が付いた。

 移転費用は当時の貨幣で300円。室蘭郡の世帯数は350戸程度。1戸当たり1円ほど寄付してもらう計算になる。奈良宮司は「当時としては大金で、結局150円程度しか集まらなかった。クジラの脂はランプに使っていたので、漁民が捕らえたクジラを開拓使に150円で買い上げていただき、残りの移転費用に充てた。当時としては画期的だったと思う」と語る。

 1924年(大正13年)に県社に昇格。31年に不審火で全焼したが、38年に昭和の御大典記念事業として社殿大造営を竣(しゅん)工(こう)した。52年には現社名に変更。100周年記念事業として南山道を改修。92年に平成の御大典記念事業で表参道、車参道を改修した。境内には艦砲射撃で亡くなった436人や、民間船舶、軍艦の乗員をまつっている慰霊碑がある。

 今年5月には新しい天皇陛下の即位を控える。奈良宮司は「式展は開きたい」と意気込んでいる。
(池田勇人)

(2019年2月3日掲載)