鳥谷、福留、阿部が1000得点に挑戦…今季達成が予想される記録【得点編】

阪神・鳥谷敬(左)と福留孝介【写真:荒川祐史】

歴代1位は王貞治だが、2位には世界の盗塁王・福本豊がランクイン

 野球の「得点」とは、試合でホームベースを踏んだ回数のことを言う。得点はNPBではあまり重要視されないが、MLBでは打点と同じくらい重要な指標だとされる。

 得点が多い打者には、3つのタイプがある。1つ目は打率、出塁率が高い打者。安打、四球などで出塁数が多い打者は、それだけ本塁に帰ってくる回数は多くなる。2つ目は、足が速い打者。出塁してから盗塁などで次の塁を奪うことができれば、本塁に帰ってくる可能性は高まる。3つ目は、本塁打が多い打者。本塁打は盗塁を除いて、打者走者が自分で得点を稼ぐ唯一の手段だ。本塁打の数だけ得点を稼ぐことができる。いずれのタイプの打者も「好打者」だといえる。「得点」が多い打者はチームに対する貢献度が高い打者なのは間違いない。

○NPB歴代得点10傑()は実働年数
1 王貞治 1967得点(1959-1980)
2 福本豊 1656得点(1969-1988)
3 張本勲 1523得点(1959-1981)
4 野村克也 1509得点(1954-1980)
5 金本知憲 1430得点(1992-2012)
6 衣笠祥雄 1372得点(1965-1987)
7 山本浩二 1365得点(1969-1986)
8 落合博満 1335得点(1979-1998)
9 門田博光 1319得点(1970-1992)
10 石井琢朗 1298得点(1989-2012)

 NPBの主要な打撃指標では、王貞治がほとんど1位だ。しかし2位にNPB史上最多の1065盗塁を記録した福本豊が入っているのが得点という指標の特長だ。衣笠祥雄、石井琢朗も盗塁王をとった経験がある。

現役では鳥谷&福留の阪神勢が1、2位

○現役得点数10傑
1 鳥谷敬(神) 983得点(2004-2018)
2 福留孝介(神) 981得点(1999-2018)
3 阿部慎之助(巨) 981得点(2001-2018)
4 坂本勇人(巨) 880得点(2007-2018)
5 中村剛也(西) 831得点(2003-2018)
6 内川聖一(ソ) 806得点(2001-2018)
7 中島宏之(巨) 804得点(2002-2018)
8 栗山巧(西) 796得点(2004-2018)
9 福浦和也(ロ) 774得点(1997-2018)
10 松田宣浩(ソ) 759得点(2006-2018)

 1000得点はNPBの表彰記録の一つだ。過去41人が達成しているが、昨年限りで松井稼頭央(西武・1065得点)、新井貴浩(広島・1054得点)が、引退したために、現役で1000得点を記録した打者はいなくなった。しかしあと17得点で阪神の鳥谷、19得点で阪神の福留、巨人の阿部が大台に到達する。主力打者の場合、得点数は少なくとも出場試合数の50~60%程度になるので、この3人は今季、40試合程度出場すれば1000得点に到達するだろう。

 4位の坂本勇人は、これまで4回「得点王」になっている。当代屈指の「得点稼ぎ」だ。キャリア最高は107得点だが、活躍次第では1000得点に到達する可能性はあるだろう。まだ通算591得点と少ないが、ヤクルトの山田哲人も過去5年で4回得点王。昨年は歴代3位タイの130得点を記録した。

 また、西武の秋山翔吾(通算657得点)、ソフトバンクの柳田悠岐(通算539得点)も2回の得点王をとっている。今、働き盛りの選手の多くは、足も速く、長打もある「得点稼ぎ」タイプがたくさんいるのだ。ここ10年ほどの間で、通算得点のランキングは大きく変わる可能性があるだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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