「独自路線を貫くベティスを特集!ポゼッションサッカーで高みへ行けるか」

「61%、62%、61%」

 この数字は、ベティスが直近の3試合で記録したポゼッション率だ。

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左からコパ・デル・レイ準々決勝エスパニョール戦(2ndレグ)、リーガ第21節アスレティック・ビルバオ戦、コパ・デル・レイ準々決勝エスパニョール戦(1stレグ)での記録である。

2年目を迎えたキケ・セティエン監督が標榜するのは、徹底的にパスをつなぎ、自分たちがゲームを支配するポゼッションサッカーだ。冒頭の数字からも、指揮官の理想がピッチ上で体現されていると言えるだろう。

コパ・デル・レイではベスト4進出を決め、ヨーロッパリーグ(以下EL)でもベスト32入りを果たしたベティス。リーグ戦では6位(22節終了時点)と、ここからの成績次第では、ELまたはチャンピオンズリーグ出場権獲得も十分見えてくる。

直近のアトレティコ・マドリー戦では強豪相手に1-0の勝利を挙げた。

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今回の当コラムでは、ポゼッションサッカーを貫き独自路線を歩むベティスにフォーカスを当て、チームを支えるキーマンや抱える課題について述べていきたい。

■ベースは3バック

セティエンは3バックと4バックを使い分けているが、ベースとなっているのはリベロのマルク・バルトラを中心とした3バックだ。

アイサ・マンディ、シドネイが左右のストッパーに入り、最終ラインの前にウィリアム・カルバーリョが陣取る。

セルヒオ・カナレス、ジョバニ・ロ・チェルソがゲームメイクを担い、右ウイングバックのフランシス、左ウイングバックのジュニオル・フィルポ(またはクリスティアン・テージョ)が攻撃の幅を生む。

最前線はロレンとセルヒオ・レオンの他に、新加入のディエゴ・ライネスが2トップの一角に配されている。1月に獲得が発表されたヘセ・ロドリゲスも2トップでの起用が予想される。

■チームを支えるキーマンたち

前段で触れた通り、指揮官は複数のシステムを使い分ける策士だ。3-5-2の他に3-4-2-1、アンカーを置いた4-3-3も採用されているが、チームの“骨格”となるメンバーに変わりはない。

まずは、守護神のパウ・ロペス。スペイン代表にも選出されている気鋭のGKは、鋭い反射神経を活かしたビッグセーブが売り。ビルドアップでは徹底してショートパスを選択し、指揮官の理想に応えている。

また、リベロのバルトラは最終ラインのリーダーとして君臨。バルセロナのカンテラ出身ということもあり、ビルドアップのセンスは抜群だ。攻撃の才に秀でる背番号5にとって、3バックの中央は特長が活きる“願ってもない場所”である。

そのバルトラの前でアンカーを担うカルバーリョは、いまや欠かせない存在となった。今夏にポルトガルのスポルティングから加入すると、徐々に適応し、恵まれた体躯を活かしたボール奪取とそつのないつなぎで“捌き役”として機能している。

そして、カルバーリョとともに中盤を形成する2人のインサイドハーフも紹介したい。

若かりし頃から将来を嘱望されてきたカナレスは今季、キャリアハイと呼べるパフォーマンスで攻撃を牽引中だ。キレのあるドリブルとスルーパス、エリア内に進出する動きでチームトップのリーグ戦5得点をマークしている。

そのカナレスとともに崩しの軸を担うロ・チェルソも、潜在能力の高さを見せつけている。今夏にパリ・サンジェルマンから加入した左利きのコンダクターは、正確なパスと強烈ミドルで定位置を確保。

パリ時代にはアンカーで起用されたこともあったが、やはり最適ポジションはインサイドハーフだろう。攻撃に意識を傾かせた方が持ち味を発揮できる。

■期待の即戦力がフィットすれば…

最終ラインと中盤は不動の選手が多く、チームの骨格を担っている。しかし、最前線は絶対的な点取り屋が存在せず。圧倒的なポゼッションをなかなかゴールに結びつけることができておらず、ここが最大の課題となっている。

現スカッドを見ると、ロレンがリーグ戦4得点で、S・レオンはリーグ戦ノーゴール。2ゴールを奪っていたアントニオ・サナブリアがジェノアへ旅立った今、この2人の爆発は必要不可欠。奮起を望みたい。

そして楽しみなのは、ライネスとヘセの新加入コンビだ。

メキシコのクラブ・アメリカから今冬に加入した前者は、ドリブルを武器とする18歳。

“9番”タイプのストライカーではなく、セカンドトップが最適だが、ロレンとS・レオンがゴールに専念できるような働きが求められる。

パリ・サンジェルマンからのレンタルという形で加入した後者は、リーガでの実績もある即戦力。しかし、ポテンシャルは間違いない反面、メンタルに問題を抱えているのも事実で、どこまで活躍できるかは未知数な部分が多い。

果たしてヘセは、指揮官が標榜するポゼッションサッカーに適応し、すぐさま結果を残せるか。

パフォーマンス次第では、コパ・デル・レイでの戴冠はもちろん、ELでの躍進とリーグ戦の上位進出にも期待が膨らむ。新天地で“救世主”となれるか要注目だ。

2019/02/03 written by ロッシ

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