INF破棄「世紀の愚行」 長大レクナ、米露を批判

 米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を通知、ロシアも「対抗措置」を宣言したのを受け、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は4日、「核戦争の勝者を目指すような政策への回帰は世紀の愚行」などと米ロを批判する見解を公表した。
 見解は、条約破棄により、2021年に期限を迎える米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の延長交渉が失敗しかねず、核軍縮を義務付けた核拡散防止条約(NPT)への違反で国際司法裁判所から提訴される可能性もあると指摘した。「法の支配の軽視は断じて許されない」として核軍縮交渉の再開を求めた。
 一方、トランプ米大統領が、多数の中距離ミサイルの配備を進める中国などが参加する「新たな条約ができればよい」との考えを示したのを受け、日本政府に対し「好機と捉え(朝鮮半島など)北東アジアの非核化につなげるビジョンと戦略を示すべき」と訴えた。
 被爆地の長崎、広島両市は同日、12日に両市長が米ロの駐日大使館を訪ね、INF条約維持を直接要請すると発表した。

© 株式会社長崎新聞社