キイチビール&ザ・ホーリーティッツ - 畳の上でロックンロール! 新世代のロックスター、キイチビール&ザ・ホーリーティッツが曽我部恵一との2マンを新宿LOFTで開催!

無駄な着色とかがなく、空気感がそのまま伝わる

──今回、3枚目となる7インチ・シングルのリリースですが、7インチでリリースをすることになった経緯を教えてください。

キイチビール:おととしのレコードの日に漫画家の本秀康さんがやっている雷音レコードから「パウエル」という曲をリリースして頂いたことが最初のきっかけです。そして去年のレコードの日に今度は事務所のレーベルから「透明電車が走る」という曲を7インチで出させてもらえることになって、それも本さんの絵がジャケットで、それで今回リリースするにあたって、レコードの日じゃないけど7インチをリリースするなら本さんに描いてもらうのをシリーズ化しちゃおうっていう運びです。本さんが「パウエル」が好きで、レコードを出したいって言ってくれたのがこの7インチシリーズの全てのきっかけでした。

──今回714枚限定でのリリースですが、“714”という数字には何か意味があるのでしょうか。

キイチビール:“ないよ”という意味です。歌詞に“電気もない“など関連したワードが出てくるので、ダジャレっぽくしました(笑)。それに合わせて、今回は714(ないよ)カードという世界に1枚だけのメンバー直筆のカードが封入されています。

──毎回そういった仕掛けを施しているのですか?

キイチビール:そうですね。前回の7インチには1枚1枚ナンバリングをして、世界で1枚の7インチを作りました。

──定期的に7インチシングルをリリースしているのがとても良い流れだと思いました。

キイチビール:シングルをCDやサブスクだけでリリースするよりかは、7インチでリリースして、A面だけ配信するっていう方が特別感があって、ジャケットも大きいから物として持っていると嬉しいかなって思っています。

──でも世代的にはレコードの世代ではないですよね?

キイチビール:だからこそレコードへの憧れがあるのかもしれないです。友達も集めたりしているから、やっぱりレコードへの関心は高まっていると思います。

──ご自身もレコードは集めていますか?

キイチビール:買っていますね!

──キイチさんがレコードを買うようになったきっかけはなんでしたか?

キイチビール:二十歳の大学2年の時にサークルでジャズ研に入っていたんですが、ジャズのレコードとかは、200円とかで買えるものもあって安いし、なんとなくレコードで聴いた方が良さそうだなと思ってレコードプレイヤーを買ったのがきっかけです。最初はジャズだったんですけど、そこから歌謡曲などを買うようになりましたね。

──私もレコードが好きで、集めています。集めたくなる、飾りたくなる特別感がレコードの魅力だと思います。

キイチビール:そうですね。CDで持っていても、やっぱりレコードで欲しくなりますしね。

──そう思われるきっかけのひとつとして大きいジャケットがあると思います。毎回、漫画家の本秀康さんがジャケットを描かれていて、とても可愛いレコードですよね。

キイチビール:最高ですよね。僕は高1くらいから本さんの漫画が好きだったのでとても嬉しいです。

──本さんと出会ったきっかけはなんだったのですか?

キイチビール:出演したテレビ番組で、好きな人と会えるっていうコーナーがあったので、すぐ、「もとさん! もとさん! もとさん!」って感じでお呼びして出会いました。このコーナーに出るタイミングで今使っているロゴを描いてもらって、そこで大発表したんです。 その時に僕らのことを気に入ってもらえて、雷音レコードから7インチがリリースされるきっかけが出来たんです。もう相思相愛です(笑)。

──本さんの漫画とはどこで出会いましたか?

キイチビール:僕のお姉ちゃんが『ワイルドマウンテン』を1巻だけ買ってきて、それを読んで最高すぎるなって、2巻以降を買い始めたのが出会いです。お姉ちゃんはサブカルな漫画が好きで、中学生の時とかはよく読んでいましたね。

──私はつい最近レコードを通して、本さんの作品を知ったので、きちんとルーツを通っているのはすごいと思います。そういう所も含めて、キイチビールさんから古き良きものの匂いや、ジャズ研でウッドベースを弾いたり、ギター1本で作曲したりなどのアナログのものに対してのこだわりを感じたのですが、アナログに対してのこだわりはありますか?

キイチビール:あまりないです。今はパソコンの前で卓録をしたり、つまみをいじったりする技術がないから、結果アナログになっちゃうっていう(笑)。今の所は、まだそちらの方はやる気になっていないので、やる気になったらいずれ使うかもです。

──では、キイチさんの考えるアナログのいい所ってなんですか?

キイチビール:作っている側の気持ちみたいなのが、一番ストレートに伝わる感じですかね。無駄な着色とかがなく、空気感がそのまま伝わるのが良い所だと思います。

──そういった空気感を意識して作曲等を行なっているということですか?

キイチビール:そうですね。去年の2月に出したファースト・アルバム以降に作った曲は自分の素の部分というか、生活があって曲があるみたいな、生活と癒着している感じの曲がさらに出来てきて、次のアルバムに入る曲はそういう曲ばっかりなので、心境の変化もあるのですが、ストレートな部分がどんどん出てきています。

メロウライフというかスローな感じで畳の上から生まれる曲っていうのが、今の自分

──その心境の変化というのはどこから生まれたのでしょうか。

キイチビール:どこからなんでしょう(笑)。でも、郊外に引っ越して、今までフローリングだったのが築50年くらい経った畳のボロアパートになったりだとか、前はよく下北で夜通し遊んでいたのが引っ越してからは遊ばなくなり、バイトも週2くらいになって。平日とかに畳に横になってラジオとかを聴いてると、「あっ、これが俺にあってるな」と(笑)。そういうメロウライフというか、スローな感じで畳の上から生まれる曲っていうのが今の自分だなっていう心境の変化がありました。

──なるほど。逆にずっと使っているものというか、使い古しているものとかってありますか?

キイチビール:えっと…ないかもしれない(笑)。でも今使っているテレキャスは父親がずっと使っていたものです。実家にいたころは全然触らせてくれなかったんですけどね(笑)。バンドを初めてライブするにあたってエレキギターを持っていなくて(笑)。買うお金もなくて、実家に帰った時にハードケースに厳重にしまわれて使ってなさそうだったので、聞いてみたら貸してくれました。そこから約2年半ずっと使っています。

2月16日から始まるくらいの気持ち

──今回のイベントについてお聞きします。イベントで共演する曽我部恵一さんの曲との出会いを教えてください。

キイチビール:17歳くらいの時に『ラブレター』っていうアルバムを買って、ちょうど「セブンティーン」って曲とか入ってて、「俺セブンティーンだし」とか思って(笑)。高校の時はそのアルバムばっかり聴いていました。

──面識はありますか?

キイチビール:ほんと偶然なんですけど、初ライブ(下北沢Basement Bar)の時に、隣のTHREEに忘れ物をした曽我部さんと、初ライブのイベントを企画した渡邊さん(※サニーデイ・サービス/キイチビール&ザ・ホーリーティッツの共通のディレクター)がばったり会って、そのまま打ち上げに来て、「あっ、曽我部さんだ」って感じでした。あとは曽我部さんも僕も下北によくいるので、ばったり会ったりしています。「メンバー一丸でやってる感じがいいね」って言ってくれています(笑)。

──その曽我部さんと2マンで共演するにあたっての心境はいかがですか?

キイチビール:なんかすごいっす…ただ単に(笑)。まぁ、音楽やってて良かったなって思っています。でも、やるってなった最初からハコはLOFTが良いって思っていました。それで、LOFTでやるってなったら曽我部さんだなって思いました。やっぱり伝統のライブハウスだし、まだLOFTではやれていないので。

──最後に2月16日ツアーファイナル@新宿LOFTにかける意気込みをお聞かせください!

キイチビール:今までいろんなライブをやってきましたが、また違った面を見せたいなって思っています。まったくゴールではなく、2月16日から始まるくらいの気持ちでフレッシュな一面を見せたいです。新曲も沢山やるし、新たなキイチビール&ザ・ホーリーティッツをバーっと見せていきたいと思っています! よろしくお願いします!

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