二階堂美術館で「横山大観と京都の日本画家たち」【大分県】

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横山大観「比良之冬」(左)と「魞之秋」(いずれも1918年ごろ)

 日出町の二階堂美術館では、企画展「横山大観と京都の日本画家たち」を開催しています。4月14日まで。

 横山大観は、東京美術学校を卒業した翌年の1894(明治27)年、奈良や高野山などの古社寺で1年間、古画模写の仕事に従事しています。95年には京都市美術工芸学校の予備科教員として京都に赴任し、帝国博物館が行うこととなった古画模写事業の嘱託となって、盛んに古画模写を行っています。

 京都に滞在中の同年、禅寺で僧侶と一緒に酒を飲んでいた折、観音経の中の「五観」のひとつ「広大智慧観(こうだいちえかん)」から、「大観」の雅号を偶然に思い付いたといわれています。「大観」の雅号は、翌年の展覧会より終生用いることとなります。大観にとって、関西や京都での滞在は、その後の画業の展開を考える上で大きな意味があります。

 本展では、大観の画業を回顧するとともに95年に共に京都市美術工芸学校に赴任し、京都の日本画壇をリードした竹内栖鳳の作品や展覧会を通じて交流のあった京都の日本画家たちの作品を紹介します。

 横山大観作「魞之秋(えりのあき)」「比良之冬(ひらのふゆ)」は、琵琶湖や近江の景勝を、秋と冬の光景に分けて捉えた双幅の作品。「魞之秋」の魞とは、琵琶湖一帯の伝統的な漁具で、よしずや竹垣を魚道に張り立てて、魚を自然に誘導して捕らえる定置漁。春から夏の琵琶湖の風物詩として親しまれてきた光景を、雁(かり)を配することで秋の景観として捉えています。「比良之冬」の比良とは、琵琶湖の西岸に連なる山地。近江八景の「比良の暮雪」で知られる景勝地。いずれも詩情豊かに描き出しています。

 横山大観作「夜桜」は、京都の桜の名所に取材したものと思われます。大観は京都を来訪した時には、必ず日本美術院の画家の冨田渓仙を訪ねて交友を深めたといいます。大観は渓仙の一作「祇園夜桜」を愛蔵して離さなかったそうです。勢いよく立ち上がる篝火(かがりび)に照らし出された夜の桜が、幻想的な雰囲気を漂わせて描き出されています。

(二階堂美術館館長代行・佐藤直司)

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 担当学芸員の展示解説は16日、3月9日と23日の午後1時半から。