親や学校の先生とは違う目線で子どもたちを応援したい【アビバキッズ 田名北教室インストラクター古川悦子先生:先生の横顔】

どんな先生が、どんな思いで子どもたちと向き合っているのか。STEMやプログラミング教育について、どのような考え方で取り組んでいるのか……教室を決めるときに保護者として知りたいのは、カリキュラムの内容以上に、先生の人柄だったりします。このインタビューシリーズ「先生の横顔」では、自らも小学生と中学生の子をもつ母親である筆者が、これから子どもを教室に通わせようとするママの目線で、各教室の先生にお話をうかがっていきます。

古川先生が教えるアビバキッズ 田名北教室は、落ち着いた住宅地の中の一軒家。住宅とは別に設えられた教室専用のドアを入ると、明るい教室にパソコンの置かれたデスクが並んでいます。家庭ではお母さんでもある古川先生は、優しく親しみやすい笑顔で迎えてくれました。

パソコンの楽しさを子どもたちに伝えたくて

──そもそもこの仕事をはじめようと思ったきっかけはなんですか。

古川 もともとは夫が自営業で、経理の手伝いをパソコンでできるようになればと思っていました。どうせ使うならもっといろいろなことができるようになりたいと思って、子どもが幼稚園に通いはじめたのをきっかけにアビバのパソコン教室に通いはじめました。

大人になると、なかなか人から褒められることはないんですけど、そのスクールではなにかできるようになると褒めてもらえるのが嬉しくて、また昔働いていた印刷会社では手作業でやっていた写真や文章のレイアウトなどが、パソコンを使うとあっという間にできることも楽しくて。この楽しさを子どもたちにも伝えてみたい教えてみたいと思って、2006年にアビバキッズの先生になりました。

──最初はパソコン教室だったんですね。

古川 そうなんです。最初はパソコン教室の先生として、主にタイピングや基本操作、ExcelやWordなどの使い方を教えたり、高学年の生徒がさまざまな検定を受験するためのお手伝いをしていました。プログラミングを教えるようになったのは約1年前、アビバキッズにプログラミング教室のカリキュラムが登場してからです。当初はパソコンを使えない子どもたちにいきなりプログラミングなんてできるの?とか、プログラマーでもない自分に本当に教えられるの?と不安がいっぱいでしたが、教材やカリキュラムがしっかりできていたので、子どもたちと一緒に自分も勉強するつもりでやりはじめました。

プログラミング教育のおもしろさ

──プログラミングのおもしろさはどこにあるのでしょうか。

古川 これまでのパソコン教室で教えていたことは、パソコンの使い方やテクニックを通した制作や表現の楽しさでしたが、プログラミング教室で教えているのは考え方そのもの。論理的な考え方や、順序立ててなにかを伝える方法、考えの変換の仕方など、「パソコン」という機械の中だけではない、発想力を育てていく学びということがとてもおもしろいですね。組み立て方が違っても同じ結果になることもありますし、正解はひとつではありません。

目的とする動きができるまでには段階を追って考える必要があるので、ブロックの教材や課題は、まずわたしが繰り返して試し、難しいところや達成感を実感するようにしています。

──正解がひとつではないところに魅力があるのですね。

古川 事前に何度も試していても、わたしの気づかなかった方法や考え方を子どもたちが発見して、そういうやり方でもできるんだね!と感心することもあります。また逆に、パソコン上では動いていて、プログラムは正しくできているはずなのになぜブロックのロボットが動かないんだろう?と思ったら、電池がないとか初期不良といった、ハード的な問題の場合もあります。また、単純にブロックの組み方を間違ってしまったことで、うまく動かないということも起こります。

そういった試行錯誤を繰り返しながら、さまざまな可能性に思いを巡らせ、多面的にものごとを捉える力をつけていく必要がある。それはプログラミングの難しさでもあり、おもしろさでもあります。

ママの目線より

プログラミングの先生というと、バリバリの理系やエンジニアからの転身というイメージがありましたが、古川先生はわたしたち同様「普通のお母さん」からのスタート、というのは正直意外でした。

でも、考えてみれば「プログラミング教育」というのは、エンジニアリングとは違います。「先生」の使命は完全なプログラムを完成させることではなく、いかに子どもたちにプログラムに興味をもたせ、もっといろいろなことに挑戦したいという気持ちを盛り上げることができるかという「教育」そのもの。それに、プログラミング教育は、まだまだ発展途上の分野です。新しいことをどんどん試し、取り入れて、発見の楽しさを伝えてくれる古川先生の柔軟な好奇心が、子どもたちのやる気と好奇心を育むのでしょう。

子どもたちを応援する大人でありたい

──親として、子どもにどうやってプログラミングを教えればいいのかわかりません。

古川 わたしもアビバキッズの先生として長く子どもたちに接して指導してきましたが、いざ自分の子に教えようとすると、案外うまく教えられませんでした。自分の子のことは客観的に見られず、気長に待ってあげられなかったり、自分の欠点と重なる部分にイライラしてしまい、いいところがなかなか見つけられないんですね。でも、生徒さんだったらうまくできなくても待ってあげられるし、いいところをたくさん見つけられる。

現在、子どもにプログラミング教育を体験させたいと思う親御さんの中には、ご自身がすでにパソコンやプログラムの知識や技術をおもちの方も多いでしょう。でも、家庭内だとやっぱり、同じようにうまく教えられないこともあるかもしれません。親子と、先生・生徒では、教える方・教えられる方、両方の心構えが違ってくる。それを体験としてわかっているからこそ、わたしは親御さんとも違う、学校の先生とも違う立場で、子どもたちを応援したいと思っています。

──たしかに、親子と先生・生徒ではお互いのコミュニケーションも変わってきそうですね。

古川 以前教室に通ってきた生徒さんで、学習障害があるという中学生がいました。でも教室ではとても集中して、課題もどんどんできちゃって、むしろパソコンに関しては驚くほどの飲み込みの良さと吸収力を発揮してくれたんです。その子はその後、学校にもパソコンをもっていけるようになり、進学していきました。人前に立つことが苦手なお子さんが、プレゼンテーションの発表だととても堂々としていて、親御さんがびっくりされることもあります。

パソコンがあれば、できることはずっと広がります。そのワクワク感や、単純に「楽しい!」と思える小学校低学年のうちから、興味があればぜひ教室に来て欲しいと思っています。学校や家庭では発見できなかった才能を、一緒に見つけていけたら幸せです。

──家や学校ではできない経験が、子どもの自信を育てることにつながるんですね。

ママの目線より

あれができない、これができない、うちの子は大丈夫かしら……と、親はつい他の子と比べてできないところばかりを見てしまいがち。でも古川先生は、一人一人の発想力や気づきを正面から受け止め、一緒に考え一緒に喜ぶことで、プログラミングにより多くの楽しさを発見するお手伝いをしてくれます。

難しいのでは?続かないのでは?という心配も、こんな先生ならきっと無用ですね。古川先生は、最高の「発見先生」でした。ありがとうございました!

  • アビバキッズ 田名北教室
  • 運営会社:株式会社グローバルキャスト
  • パソコンスクールアビバのキッズ部門としてスタートしたアビバキッズでは、長い実績をもつパソコンクラス(小学生〜高校生)に加え、新たにプログラミングコースを開設。小学校1〜3年生の低学年向け「自考力キッズ」ではブロックパズル、ブロックロボット、パソコンを使ったプログラミングの3つの教材とカリキュラムを通じて「自分で考える力」を身に付けます。また、小学校高学年を対象としたプログラミングに特化したクラス「ロボットプログラミング」もあります。田名北教室は先生のご自宅の一角を教室として使用しているスタイルです。パソコン教室、自考力キッズ、ロボットプログラミング教室を開講しており、未就学児からのスクーリングも可能。

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