東京湾口に海の「センターライン」 安全航行へ3月から

 第3管区海上保安本部(横浜)は3月1日から、国内屈指の船舶の通航量を誇る東京湾口海域に仮想の「センターライン」(中心線)を設ける。湾内に向かう船と出る船が互いに右側通行で航行する経路を定めることで、海上交通の流れを整えて航行船舶の安全性向上を図る。

 湾口海域は、1日約500隻が航行する浦賀水道航路の南方で、三浦半島沖にかけての海域。浦賀水道航路は、特定の大型船は定められた速力で航路を航行する義務が課せられている。一方、湾口海域は航路が決まっておらず、漁船や釣り船も多いことから、過去には衝突事故が起きている。

 海上交通安全法に基づいて湾口海域に定められる新たな交通ルールでは、浦賀水道航路の中心線に連続して延長約13キロの仮想のセンターラインを設け、船舶が航行すべき経路として指定する。

 大型船を中心に搭載が進んでいる船舶自動識別装置(AIS)を活用することで、操舵(そうだ)室のモニターや電子海図上に仮想のブイを示す航路標識を表示させる。新たな交通ルールはAIS搭載の有無を問わず全ての船舶に適用されるため、海図にも航路標識を記載していくという。

 3管の担当者は「伊豆大島西方沖に設定した推薦航路とともに海上交通の流れが整うことになり、相模灘から浦賀水道航路までの海域で安全で円滑な船舶航行に寄与する」と強調。湾口海域の海上交通のあり方を3管などと検討してきた東京湾海難防止協会(横浜市中区)は「油濁事故の防止にもつながり、漁業操業の安全性の向上や漁業環境の保護にもつながる」と期待している。

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