京都市3年間指導せず 閉鎖・未返金の老人ホーム設置未届け

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昨年8月に閉鎖したマザーハウスひまわり。建物は売却され、塀には宿泊施設になることを告げる紙が貼られている(京都市西京区)

 京都市西京区嵐山の有料老人ホーム「マザーハウスひまわり」が昨年8月に閉鎖し、入居者8人の入居一時金など計約3600万円が未返金になっていることが明らかになった。マザーハウスひまわりは、老人福祉法に基づく行政への届けを怠っていた。市は2012年に未届けであることを把握したが、約3年間指導を行わないなど十分な対策をとっていなかった。15年には左京区の有料老人ホームでも未返金が発生する事態が起きており、専門家は市の対応を問題視している。

 未届けの有料老人ホームでは、前払い金を巡るトラブルが全国各地で相次いでいる。中には防火設備の不備や職員の不足、不適切な住環境などの問題点が見られる施設もあるため、国は自治体に指導の強化を呼び掛けている。

 市介護ケア推進課によると、市は12年4月、有料老人ホームの監督権限を京都府から引き継いだ際、マザーハウスひまわりが未届けであることを把握。1年後の13年4月に電話で届け出るよう求めたが、16年3月までの約3年間は電話も掛けていなかった。当時、市内に未届けの有料老人ホームはマザーハウスひまわりを含めて2施設だけだった。

 16年以降は一転、繰り返し指導した。昨年2月に札幌市の自立支援施設で11人が死亡する火災が起きたことを受け、翌月に初めて実地指導も行ったが、代表の女性(67)は帳簿や図面の作成に時間がかかるとして応じなかったという。

 同課は「結果的に届けを出してもらえず、未返金が発生する事態に発展したのは残念」とする一方、「精いっぱい指導した」として市の対応に問題はないとしている。老人福祉法に基づく改善命令や警察への告発は可能だが、「入居者の不安をあおる」として検討はしていないという。

 佛教大の新井康友准教授(社会福祉学)は「『放置』と言われても仕方がない対応だ。市の適切な介入があれば、今回の問題は起きなかった可能性がある。高齢者は入居する際に、しっかりと考えて施設を選ばなければならないが、自己責任で処理されるべきではない」と指摘している。