風疹対策 39~56歳男性に検査促す

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 風疹が首都圏を中心に流行する中、厚生労働省は現在39~56歳の男性を対象に、風疹の抗体検査とワクチン接種を3年間、原則無料とする方針を決めました。社会的な免疫を高め、赤ちゃんの命を守るのが狙いです。熊本地域医療センターの柳井雅明・小児科部長(日本小児科学会指導医)に背景などを聞きました。(高本文明)

-風疹はどんな病気ですか。

 「発熱や全身の発疹、リンパ節の腫れなどを伴うウイルス感染症です。感染すると、2~3週間後に発症します。せきやくしゃみなどの飛沫[ひまつ]で感染しますが、感染力は空気感染で感染する麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)ほどは強くありません。3日程度で回復しますが、高熱の継続や、血小板減少性紫斑病、急性脳炎などの合併症で入院が必要になる場合がまれにあります」

 -特に注意すべき人は。

 「最も気をつけなくてはいけないのは妊婦さんです。妊娠20週ごろまでに感染すると、赤ちゃんに心臓疾患や難聴、白内障などの重い病気や障害が起きる先天性風疹症候群(CRS)を発症する可能性が高まります」

 「前回、風疹が大流行した2012~13年は、関東を中心に全国で1万6730人もの患者が発生しました。CRSの赤ちゃんは45人が報告され、そのうち、呼吸器感染症や心疾患の悪化などで11人が亡くなっています」

 -赤ちゃんをどう守っていけばいいのでしょうか。

 「CRSを風疹ワクチン接種により予防することが第一です。風疹のワクチンは生ワクチンであるため、妊婦さんや妊娠している可能性がある方は接種を受けることができません。妊娠を希望する方は、妊娠前に接種してください。加えて、妊婦さんらの周りにいる抗体(免疫)の低い人がワクチン接種を受けて、感染予防に努める必要があります。決して、妊婦さんだけの問題ではなく、男性やパートナー、周りの人たち、さらには社会全体で感染予防を図ることが大切です」

 -現在の流行状況は。

 「首都圏を中心に昨年8月から患者の報告が増え、昨年は2917人に上りました。これは前年の30倍を超えています。愛知、大阪、福岡などでも増えており、全国的な感染拡大が懸念されています。熊本県では、昨年12人が報告されています」

 -患者に見られる特徴は。

 「今回も前回の大流行と同じように、患者の大多数は30代から50代前半の男性です。風疹ワクチン接種歴がない、または不明の人が主体となっています」

 -なぜこの世代に患者が多いのでしょうか。

 「予防接種制度の影響を受け、1979年4月1日以前生まれの男性は風疹ワクチンの定期接種の機会がなかったため、免疫が低いと考えられています。風疹の予防接種は、かつて女子中学生だけを対象としていましたが、女性のみがワクチンを受けても風疹の流行は抑制できないことが明らかとなり、対象者を拡大しました」

 -男女を問わず、50代半ば以上の世代はいかがでしょうか。

 「大半の方が、子どものころに自然に感染しており、抗体を保有していると考えられます」

 -抗体検査やワクチン接種には費用の助成はありますか。

 「県内の多くの市町村では、妊娠を希望する女性やその配偶者、同居の方など、一定の条件を満たす方の抗体検査は無料です。免疫が低い人へのワクチン接種の費用は熊本市など多くの市町村が助成しています。本年度から厚労省は、まず39~46歳男性について抗体検査と接種を原則無料とします。各市町村もこれから具体的な対応を始めると思われますので、市町村の感染症対策の窓口や保健所などに確認するとよいでしょう」

(2019年2月6日付 熊本日日新聞朝刊掲載)