MotoGP2019年シーズン始動。セパンでスタートの公式テスト初日、王者マルケスが“最初の”トップ奪取

 2019年シーズンMotoGPが、2月6日、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットの公式テストで幕を開けた。2019年初となるこの公式テストで、左肩の手術、リハビリ明けのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がトップタイムをマーク。最高峰クラス2年目の中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は7番手と好位置で終えている。

 この日走行を行ったのは、2019年のMotoGPエントリーライダーに、各メーカーのテストライダーが加わった総勢26名だ。

 レプソル・ホンダ・チームは、脱臼しやすくなっていた左肩をオフシーズン中に手術したマルケスが予定どおりテストを実施した一方、チームメイトのホルヘ・ロレンソは、トレーニング中に左手首の舟状骨を骨折して1月21日に手術を受け、回復に努めているため今回のテストには参加していない。ロレンソの代役として、HRCテストライダーのステファン・ブラドルがエントリーしている。

 また、2018年第17戦オーストラリアGPのフリー走行で転倒を喫して右足首を骨折し、以来、手術とリハビリに取り組んでいたカル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)は、このセパンテストに参加している。

 2019年、MotoGPクラスに加わったニューフェイスは、全員がMoto2クラスからのステップアップ組。2018年Moto2チャンピオンのフランセスコ・バニャイア(アルマ・プラマック・レーシング)、ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)、ミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMテック3)の4名だ。

 テストライダーとしては、リザルトにはライダー名が反映されていないが、ヤマハのテストライダーとして、中須賀克行と野左根航汰が走行を実施。現地からの情報によれば、ヤマハ・テスト1のバイクでふたりのライダーともに走行を行ったという。

 また、アプリリアのテストライダー、ブラッドリー・スミスとスズキのテストライダーを担う津田拓也はライブタイミング上に名を連ねてはいたものの、走行を行っていない。

 テストは現地時間午前10時から午後6時にわたり、ドライコンディションのなか行われた。開始早々に好調さを見せたのは、レッドブルKTMファクトリー・レーシングから参戦3年目を迎えるポル・エスパルガロだった。セパン・インターナショナル・サーキットのサーキットレコード、2分0秒606を更新する2分0秒313をマークしてトップに立つ。しかしポル・エスパルガロはその後転倒を喫し、タイムを更新することなく、最終的に10番手でテスト初日を終えている。

スズキのエースとして2019年シーズンに挑むリンスは2番手につけた

 その後、走行開始約2時間半後の12時半ごろ、1分59秒880をマークして最初に2分の壁を破り、アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)がトップに立った。チーム・スズキ・エクスターから3年目を迎えるリンス。2019年シーズンはチームメイトにMotoGPクラスルーキーのジョアン・ミルが加わったことから、リンスはスズキのエースライダーを担うことになる。

 加えて、スズキは2019年からレギュレーションの優遇処置を外される。そんな状況で迎えた2019年初テスト。リンスはその後、マルケスにタイムを更新されたが、それでも2番手という好成績で走行を終えた。

 リンスのタイムを更新し、この日のテスト中盤に記録した1分59秒621で最後までトップを守り続けたのが、ディフェンディングチャンピオンのマルケスだった。左肩の影響は不明だが、マルケスは初日29周をラップするにとどめ、このトップタイムをマークしたのち3周で走行を終了している。

ビニャーレスは2019年、ゼッケンを12へ
2019年最初のテスト、初日を3番手でスタートしたビニャーレス

 2017年シーズン中盤から2018年にかけて、実に27戦もの間、勝利の女神に見放され続けたモンスターエナジー・ヤマハMotoGPのバレンティーノ・ロッシとマーベリック・ビニャーレスは、マシンカラーリングが一新したヤマハYZR-M1を走らせた。双方ともに終日トップに立つことはなかったものの、ビニャーレスは3番手、ロッシも6番手とまずまずの出だし。ビニャーレスは、この日4人のみ記録した1分59秒台のタイムをマークしている。

 ドゥカティ陣としては、2019年からファクトリーチーム入りしたダニロ・ペトルッチ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)が終盤まで4番手を守っていたが、残り15分を切ったころにティト・ラバット(レアーレ・アビンティア・レーシング)が1分59秒台にタイムを縮めてみせると、4番手に浮上。ドゥカティ勢のトップで初日を終えた。一方、2018年ポイントランキング2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ミッション・ウィノウ・ドゥカティ)は8番手にとどまっている。

レッドブルアスリートとなった中上。ヘルメットにはレッドブルマークが
終盤にタイムを更新して7番手につけた中上

 そして、MotoGPクラス2年目を迎える中上貴晶。中上は2018年11月末に行われたヘレステストを、総合トップで終えている。今回のテストでは精力的に55周を走り込み、終盤の残り時間25分あたりではタイムアタックを行った模様。各セクターで自己ベストを刻みタイムを更新し、トップのマルケスから0.537秒差の7番手でテストを終えている。

 ヤマハの新サテライトチームとして登場したペトロナス・ヤマハSRTは、フランコ・モルビデリが最上位で12番手。ルーキー勢トップだったのはバニャイアで、15番手で初日を締めくくっている。

 セパン・インターナショナル・サーキットで行われるMotoGPクラス公式テストは、2月7日、8日も引き続き実施される予定だ。

 以下、MotoGPセパンオフィシャルテスト1日目タイム結果。

■MotoGPセパンオフィシャルテスト1日目タイム結果

Pos. No. Rider Team Motorcycle Time Laps

1 93 M.マルケス レプソル・ホンダ・チーム ホンダ 1’59.621 26/29

2 42 A.リンス チーム・スズキ・エクスター スズキ 1’59.880 25/61

3 12 M.ビニャーレス モンスターエナジー・ヤマハMotoGP ヤマハ 1’59.937 28/63

4 53 T.ラバット レアーレ・アビンティア・レーシング ドゥカティ 1’59.983 58/59

5 9 D.ペトルッチ ミッション・ウィノウ・ドゥカティ ドゥカティ 2’00.051 8/54

6 46 V.ロッシ モンスターエナジー・ヤマハMotoGP ヤマハ 2’00.054 22/56

7 30 中上貴晶 LCRホンダ・イデミツ ホンダ 2’00.158 54/55

8 4 A.ドヴィツィオーゾ ミッション・ウィノウ・ドゥカティ ドゥカティ 2’00.197 17/49

9 6 S.ブラドル ホンダ・テスト・チーム ホンダ 2’00.214 41/61

10 44 P.エスパルガロ レッドブルKTMファクトリー・レーシング KTM 2’00.313 3/44

11 43 J.ミラー アルマ・プラマック・レーシング ドゥカティ 2’00.383 26/51

12 21 F.モルビデリ ペトロナス・ヤマハSRT ヤマハ 2’00.460 58/60

13 41 A.エスパルガロ アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ アプリリア 2’00.602 51/55

14 35 C.クラッチロー LCRホンダ・カストロール ホンダ 2’00.681 24/51

15 63 F.バニャイア アルマ・プラマック・レーシング ドゥカティ 2’00.694 25/49

16 88 M.オリベイラ レッドブルKTMテック3 KTM 2’00.902 58/59

17 31 ヤマハ・テスト1 ヤマハ・テスト・チーム ヤマハ 2’00.965 54/55

18 20 F.クラルタラロ ペトロナス・ヤマハSRT ヤマハ 2’00.985 45/65

19 66 M.カリオ レッドブルKTMファクトリー・レーシング・テストチーム KTM 2’01.054 4/20

20 5 J.ザルコ レッドブルKTMファクトリー・レーシング KTM 2’01.121 53/61

21 29 A.イアンノーネ アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ アプリリア 2’01.249 35/36

22 50 S.ギュントーリ スズキ・テスト・チーム スズキ 2’01.286 14/58

23 36 J.ミル チーム・スズキ・エクスター スズキ 2’01.432 24/55

24 17 K.アブラハム レアーレ・アビンティア・レーシング ドゥカティ 2’01.627 25/45

25 32 ヤマハ・テスト2 ヤマハ・テスト・チーム ヤマハ 2’01.736 11/45

26 55 H.シャーリン レッドブルKTMテック3 KTM 2’01.853 48/49

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