来場者の笑顔が励み 長崎県でサブカルイベント主催 小松さん インタビュー 

 自作の漫画やイラスト、アニメグッズを販売したりコスプレで撮影などを楽しめたりするフリージャンルの同人誌即売会「気分は上々」。1995年から長崎市内を中心に定期的に開かれており、サブカルチャー(サブカル)のイベントとして毎回数百人規模の来場者でにぎわう。主催者として若者らに自己表現の場を提供し続けてきた小松玲奈さん(42)=大村市在住=に、これまでの活動や今後の抱負などを聞いた。
 -イベントを開くようになったきっかけは。
 高校時代、自分がアニメや同人誌が好きだったこともあり、「青春の思い出をつくろう」とイベントの開催に挑戦した。すると、想定以上の400人を超す来場者があった。「続けてほしい」との声もあり、使命感を持った。
 -初回から24年を経て、本県の代表的なサブカルイベントとして定着した。感想は。
 数カ月に1度のペースで開いており、出品者、来場者ともにリピーターが多い。普段はツイッターなどで交流している仲間と、実際に会うことでつながりを確かめているのではないか。不登校だった女の子が、イベントで共通の趣味を持つ友人ができたことをきっかけに、学校に行けるようになったケースもあった。来場者が笑顔で帰っていく姿を見るのが何よりの励み。これからも交流や仲間づくりに役立つ場にしたい。
 -メディアなどでイベントの告知をしないのに来場者は多い。理由は?
 都市圏と比べ、地方では同人誌の作家やコスプレーヤーの数は少なく、個人が特定されやすい。友人や家族にサブカルの活動を知られることを恐れる人もいる。そのため積極的に宣伝したり取材を受けるのは控えてきた。それでも来場者が多いのは、会員制交流サイト(SNS)で情報が伝わっているからだろう。
 -長く開催する中で、サブカルに対する社会の見方に変化を感じるか?
 アニメやコスプレがメディアで取り上げられる機会も増えたせいか、マニア以外の若者からも「見てみたい、やってみたい」という声が聞かれるようになった。「アニメ好きのオタク」=「ネクラ」というマイナスイメージは徐々になくなってきていると思う。
 -最近は県内でも企業や行政主導のイベントが開かれるようになった。本県のサブカルの展望は。
 大きなイベントでは都会からプロのコスプレーヤーを呼んだりして集客を重視するが、以前から地元で活動している個人やグループにも目を向けてほしい。そのことが、本県でサブカルを文化として育てることにつながるだろう。
 -今年の抱負は。
 8月にライオンズクラブ50周年と「気分は上々」100回を記念したコラボイベントを開く予定。いろんなジャンルのサブカルを楽しめる工夫をして、1500人程度の来場を目指したい。

「何かを好きな気持ちを大切にしてほしい」と話す小松さん=長崎市古川町

© 株式会社長崎新聞社