被災地復興応援のツアーが上位そろい踏み

18年度の鉄旅オブザイヤー

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2018年度「鉄旅オブザイヤー」で、グランプリを受賞した旅行商品の企画担当者ら=2018年2月6日午後、さいたま市の鉄道博物館

 国内の優れた鉄道旅行の企画商品を表彰する2018年度の「鉄旅オブザイヤー」の授賞式が鉄道博物館(さいたま市)で6日開かれ、豪雨や震災の被害を受けた地域を訪れて復興を応援するツアーが上位にそろった。11年7月の福島・新潟豪雨で一部区間が不通となっているJR東日本只見線でトロッコ列車に乗って車内結婚式を挙げるカップルを祝福する旅行商品がグランプリ、東日本大震災の東北地方の被災地で観光列車から復興への応援に感謝する花火を観賞するツアーが準グランプリに選ばれた。

 一般の人に贈られるベストアマチュア賞には、熊本地震で被災した熊本県を訪れて南阿蘇鉄道のトロッコ列車に乗り、復興を応援する駿台観光&外語ビジネス専門学校(大阪)の芝谷沙那さん(20)の企画が選ばれた。

 賞は鉄旅オブザイヤー実行委員会が主催し、JR旅客6社や日本民営鉄道協会、日本旅行業協会などが後援しており、18年度で8回目。鉄道に詳しいホリプロの南田裕介マネージャー、「47NEWS」などで連載中の鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」執筆者の筆者ら計13人・団体の外部審査員が最終選考した。 

 グランプリは福島市などから貸し切りバスで出発し、JR東日本のトロッコ列車「びゅうコースター風っこ」で結婚式を挙げるカップルを祝う読売旅行などが企画した日帰りツアー。只見線は豪雨で橋桁が流されるなど大きな被害を受けて会津川口(福島県金山町)―只見(同県只見町)の約28キロが不通になっており、1139人の参加者を送り込んで観光を盛り上げたのが評価された。

 準グランプリは、東京から東北新幹線で往復して東北地方を訪れるJTBメディアリテーリングの商品。JR東日本八戸線で観光列車「リゾートあすなろ」の貸し切り列車に乗り、岩手県洋野町で車窓から花火を観賞。また、震災で大きな被害を受けた岩手県の第三セクター、三陸鉄道のレトロ車両に乗るツアー。

 JRグループと自治体が手掛ける大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」開催地を訪れるツアーを対象にしたDC賞には、西日本豪雨の被害が出た島根、鳥取両県を山陰DC開催中の昨年9月に訪れたクラブツーリズムの企画が選ばれた。JR西日本の新型観光列車「あめつち」や、伯備線の特急「やくも」が最後の牙城となった国鉄時代製造の車両381系といった多種多様な列車を満喫できる内容で、授賞式では審査員である筆者の「良質なツアーを催行することで、中国地方の西日本豪雨からの回復を後押しした社会的意義も絶大です」というコメントが紹介された。

 審査員特別賞は、JR北海道の特急用ディーゼル車両キハ183の初期型車両を改造した「旭山動物園号」を、昨年3月の引退間近の時期に貸し切り運行したクラブツーリズムのツアー。初めての受賞となる旅行会社を対象としたルーキー賞には、日光夏の花火に合わせて栃木県を訪問し、東武鉄道の蒸気機関車(SL)列車「SL大樹」に乗車する東武トップツアーズの商品が選出された。

 鉄旅オブザイヤーは東日本大震災で落ち込んだ観光を盛り上げようと11年度から毎年実施されており、16年度にベストアマチュア賞が加わった。

(共同通信=福岡編集部次長・大塚圭一郎)

鉄道博物館に展示された新幹線車両の前に立つ「鉄旅オブザイヤー」受賞者ら=2月7日午後、さいたま市