花粉症だけど登山したい!少しでも楽に登山できるコツをお医者さんに聞いてみた 寒さがやわらぎ、心地よい季節になってくる春ですが、花粉症の人にはつらいシーズンでもあります。雪解けやぽかぽか陽気とともに山に行きたいけれど、花粉が怖くて山はおろか外にも出たくない…でも山にはやっぱり行きたい登山愛好家の方は結構多いのでは。花粉症でも春先に登山を楽しめる方法はないものか、医師の方にお伺いしてみました。少しでもストレスを減らして、快適な春の登山を楽しみたいですね。

春の気配と一緒に、今年も花粉がやってきた

春だからこそ登山に行きたいのに。

桜の開花予想が発表され、なんとなく春の気配を感じ始めた今日この頃ですが、春は厄介な「スギ花粉」の季節でもあります。気温も上がり、花が咲く季節だからこそ登山に行きたいのに…毎年ヤツがくるために登山できず悶々と過ごす日々が続きます…。

2019年のスギ花粉はどのくらい辛いのか

2018年の夏がものすごく暑かったため、2019年の花粉シーズンを恐れている人も多いことでしょう。今シーズンの花粉飛散量は例年比で全国的に並~多いところが多そうです。気になる飛散のピークは福岡では2月下旬から3月上旬、大阪では3月上旬、東京では3月上旬から4月上旬となりそう。
参考:tenki.jp (2019年 春の花粉飛散予報(第3報))

でも…やっぱり山に行きたい…!

今年も例年通り、いや例年よりも辛い季節になるということはわかりました。でもどうしても山に行きたい…。何かいい方法はないものでしょうか。

花粉症だから登山できない、って思ってない?

花粉の巣窟=山に向かっていくのは怖いですよね。毎年春の登山をあきらめているけれど、やっぱり山が好きだから我慢したくない…!何か良い方法はないものか、日本アレルギー学会常務理事・大久保公裕先生に、花粉症でも登山を楽しむためのアドバイスをいただきました。

ずばり、花粉症でも我慢しないでもっと山に登ったほうがいい!

花粉症ハイカーにいきなり朗報です!これは、山で花粉が飛ぶ時間帯に関係しています。その日に飛ぶスギ花粉は、朝日を浴びてから放出され、日中に平野部に舞い降ります。 つまり山間部では早朝でない限り、飛散している花粉は少ないのです。

また、山では落ちた花粉は土と同化し、再飛散しにくいと考えらています。街ではアスファルトの上に落ちた花粉が再度舞い続けるため、症状がひどく出てしまう人もいるのです。花粉を恐れず、しっかり準備をしてどんどん山に行きましょう。

大久保先生

山の中腹では飛散している花粉に出会いますので、頂上までは少し辛抱ですよ。

岩が多い山&標高の高めの山は比較的花粉が少ない!

次は、少しでも花粉の少ない山選びを考えてみましょう。雪のある山は湿度がありますので、東北や3000メートル級の山では春先でも花粉が飛びにくいです。また北海道の山もスギ自体が少ないので花粉が少ないです。 しかし、これらの山は春先ですと雪山装備がないと登ることができません…。

周囲より比較的標高の高い山や、岩の多い山は花粉が少ないとされています。 関東では岩殿山や鋸山などが比較的おすすめです。

大久保先生

標高の低い山は、他の山からの花粉飛散があり、花粉と出会いやすいです。 そのような山には風の弱い日や小雨の日に行くのが良いかもしれません。

登山の前日はよく寝る!登山中は風の流れも意識!

登山の前日の過ごし方も、当日の快適さを左右します。登山の前日はよく眠るようにしましょう。睡眠不足は花粉症を悪化させる要因となります。もし可能であれば、花粉症薬を飲んでおくのも一つの手です。就寝時は粘膜を良い状態に保つために加湿を心がけてください。

大久保先生

点眼薬、点鼻薬も準備しておくと安心です。 花粉除去スプレーを服の上にかけておくのも良いですね。

また、登山中にできることもたくさんあります。 山頂に向かう途中はゴーグルやマスクなどで目や鼻を花粉から防御しましょう。休憩や食事は風の通りそうな場所をなるべく避け、花粉の少ない場所で取るようにしましょう。

帰宅してからは、服にたくさんついた花粉を飛散させないよう優しく脱いで、シャワーを頭から浴びるのが良いですよ。

大久保先生

マスクはしっかり口を覆うものでなくても、風をよけられる程度でOKです。 風の通り道は花粉の通り道でもあることを意識しましょう。

花粉が付きにくい素材の服を選ぶのも効果的!

少しでも花粉が付きづらいウエアについても検討してみましょう。まだまだウール素材やニット帽、フリースなどを着用する季節ですが、繊維の奥まで花粉が入り込むため、残念ながら花粉症対策としてはあまり有効ではない模様。ベースレイヤーは化繊にし、ミドルレイヤーやアウター、小物などもナイロン製のつるつるとした素材のものがこの時期はよさそうです。

大久保先生

できればポケットもカバーやファスナーが付いているもののほうが花粉の入り込みを防げるでしょう。

花粉の時期は、こんな格好で登山するのが良さそう…!

アドバイスをもとに、おすすめのコーデを再現してみました。つるつるとしたナイロン製のソフトシェルを外側に羽織り、ファスナーはすべて閉じておきましょう。下半身も同様です。ファスナーの少ないものなら尚なお良さそうです。帽子もナイロン製のキャップにし、髪の長い方は耳にかけるかまとめて花粉の付着を最小限にしましょう。サングラスやマスクで目や花への花粉の侵入も防ぎます。

花粉症でも山を登りたい人へのアドバイスまとめ

・登山の時間帯は早朝以外を狙う
・岩の多い山や、まわりより標高の高い山に行く、雪山も○
・登山前日はよく眠り、可能であれば花粉症薬を飲んでおく
・登山服や小物はつるつるとした素材のものを選ぶ

以上のポイントを押さえて、花粉を恐れずに山に出かけましょう!

辛い症状を少しでも楽に!快適に山に登るためのお助けグッズ

かゆいところに手が届く、ハイカーにおすすめの花粉症アイテムを紹介します。もちろん街でも重宝するものばかりですよ!

街でも山でも必需品!ティッシュをスマートに持ち歩ける「nruc PT-10+」

下を向いただけで垂れてくる花粉症特有のつらい鼻水のために、ティッシュは絶対必要なアイテム…!nrucのティッシュケース「PT-10+」は、カラビナでザックに取り付けられるので、歩きながらササっとティッシュを取り出せます。ティッシュごみを収納できるポケットもついていますよ。雨が降っても安心な防水仕様!

nruc ティッシュケースPT-10+の詳細を見る

目のかゆみが辛い人は、登山で使えるスポーツ用花粉対策ゴーグルを!

街ではなるべくメガネやゴーグルをして、花粉を目に入れないように…というのは聞いたことがあるかと思います。では山では…実はスポーツ用の花粉対策用ゴーグルがあるのです。登山中にずり落ちたりしない形状のものがおすすめですよ。もちろん、スポーツ用のサングラスや、ファッション用のサングラスなどでも何もしないよりは辛さは軽減されるでしょう。

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花粉だけでなくニオイも除去!一石二鳥の花粉除去スプレー「A2care」

登山愛好者の中では除菌消臭剤として知られていますが、実は花粉にも一定の効果があるようです。これだけでOKというわけには行きませんが、ザックやウエアに吹き付けておけば、花粉の付着を減らせるほかニオイ対策にもなりますよ!

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A2ケアってご存知ですか?スポーツ用品店などでも売られているこのシリーズ、メイド・イン・ジャパンの画期的な除菌消臭剤なんです。従来の除...

苦しくならない!オールシーズン活躍するスポーツ用の「高機能マスク」

スポーツにぴったり!通気性と速乾性に優れたマスクです。メガネやゴーグルが曇りにくい設計なのもうれしいですね。中のフィルターは洗濯も可能。繰り返し使用することもできますし、フィルターのみも販売されているので、数回使ったら交換することもできますよ。紫外線もカットするので、首元の日よけとしても使えます。

今しか行けない山の景色を楽しみに出かけよう!

花粉症でもきちんと対策して登れば、何もしないよりは楽しく山に登ることができそうです。雨の日の翌日や風の強い日は避ける、など天気予報も参考に。 今年の花粉シーズンは我慢せずに、少しでも快適に登山を楽しみましょう!

教えてくれた人

日本医科大学大学院 医学系研究科 頭頸部感覚器科学分野
大久保公裕先生

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