コラム凡語:一般教書演説

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 近所の中学校の周りを歩くと、いつもより明るい感じがする。見ると、視界を遮る壁だったブロック塀が撤去され、青空が広がっていた▼昨年6月の大阪府北部地震で小学校のブロック塀が倒れ、4年生女児が亡くなった。惨事を受け、各地の危険箇所で鉄柵などに置き換えられている。ようやく工事に予算が付いたのだろう▼予算が通れば、物事は進展する。通らないと停滞する。米連邦政府機関の一部閉鎖が昨年暮れから1カ月以上も続いたのは、下院が予算を認めなかったためだ▼多くの職員が無給となり、人気歌手のレディー・ガガさんまでが「給与を必要とする人がいる」と訴えた。空港では、管制や保安業務に影響が出た。非難の矛先は、トランプ大統領に向いている▼米国では議会が予算編成権を持つ。昨年の中間選挙で下院は野党が多数を占めた。メキシコ国境に壁を建設する不法移民対策の予算は、野党が反対するので通らない。壁に突き当たっているのに、一般教書演説で大統領は壁をつくると明言した▼壁を鉄柵に置き換え、野党には壁じゃないとし、支持者には壁のようなものだというのだろうか。国家非常事態宣言で、議会を通さず予算を執行するのか。柵、いや策を弄(ろう)するべきでない。いっそ壁をやめたら、見通しがよくなりそうだ。 (京都新聞 2019年02月07日掲載)