選手一丸PR、集客効果 VリーグNECレッドロケッツ

 神奈川県川崎市中原区を拠点とするバレーボール・Vリーグ女子のNECレッドロケッツが集客で奮闘している。今季から興行権がチームに移り、選手一丸のPR作戦が奏功した。レギュラーラウンドも残り3試合と佳境を迎える中、9日は今季最後となる市とどろきアリーナ(同区)での一戦。ホームの熱い声援を背に、東地区2位につけるチームはファイナルステージに弾みをつける白星を狙う。

 真っ赤に染まる会場は熱気に包まれていた。1月26日の市とどろきアリーナには3千人を超える観衆が詰め掛けた。ラリーの応酬や球際の好プレーには自然と拍手が湧き起こり、コート上の選手たちが躍動する。今季14試合目で初めてフルセットのゲームを制し、日本代表で市立橘高卒の島村春世選手は「応援の力がかなり大きかった。うちは一体感がありすぎ」と感謝。川崎市多摩区出身で市立橘高で日本一に輝いた経験を持つ塚田しおり選手も「気持ち的にも押すことができたし、興奮した」と笑う。

 今シーズンから試合の興行権が開催地の都道府県協会から各チームに移り、場内演出やイベントを企画立案する。選手たちもビラ配りや会員制交流サイト(SNS)で情報を発信するなど、コート外での活動範囲も広がった。ホームでの連戦となった同27日の久光戦は今季最多の3445人が来場し、じわじわと認知度が高まってきた実感もある。

 他会場では千人にも満たないなど集客に苦しむチームもある現状を踏まえ、金子隆行監督は「サッカーの川崎フロンターレなど他競技のスポーツパートナーがいるおかげで、受け入れられる土壌があった。バレーだけの力じゃない」とスポーツの街のポテンシャルの高さも感じている。

 チームは現在9勝8敗で28ポイント(勝ち点)を獲得し、レギュラーラウンド東地区の2位につける。東西両地区の上位4チームで争うファイナルステージは各地区の順位に応じて、事前に持ち点が与えられるリーグ戦だ。少しでも有利に戦いを進めるためにも残り3試合に全勝し、東地区1位を確保したいところ。9日の日立戦(午後0時開始)に、友人が駆け付ける予定の塚田選手は「3勝するために、まずはホームゲームをものにしたい」、島村選手も「ここからは一つもポイントを落とせない。このホームゲームから良い流れをつくる」とファンに勝利を約束した。

 当日は全選手の等身大パネルを設置するほか、中原消防署や中原署の協力で救助活動などで使う日本に2台しかない双腕仕様機「アスタコ」や消防車、パトカーを展示。託児スペースも用意している。問い合わせは、NECロケッツクラブ事務局電話03(6721)0636。

今季ホーム最終戦を勝利で飾ることを誓ったNECレッドロケッツの島村(左)と塚田の両選手=川崎市中原区

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