亀卜神事で吉凶占う 古式ゆかしく「サンゾーロー祭」 「水産業 良」、「経済 上々」、「農業 平年作」、「天候 並」

 長崎県対馬市厳原町豆酘(つつ)の雷神(いかづち)社で7日、焼いた亀の甲羅の色やひび割れで一年の吉凶を占う亀卜(きぼく)神事「サンゾーロー祭」があった。今年の豆酘地区は「吉」、対馬全体については「水産業 良」「経済 上々」「農業 平年作」「天候 並」という結果が示された。
 亀卜神事の占いは、古くから地元の岩佐家が世襲している。江戸時代の対馬藩では、政治動向や天変地異などを占う重要な行事と位置付けられ、毎年旧正月3日に古式にのっとって執り行われている。
 占いを担う「卜者(ぼくしゃ)」は69代目の岩佐教治さん(67)だが、病気療養中のため、2010年からおいの会社員、土脇博隆さん(38)=福岡市=が務めている。
 神事には地元住民ら約30人が参列。神殿に酒や米、塩などを供えた。土脇さんは「トホカミエミタメ」と3度唱えた後、火鉢であぶった桜の木を六角形をしたアカウミガメの甲羅の一片に押し当てた。占いの結果は、土脇さんが筆で半紙にしたためた。
 神事の後、住民はたき火を囲み、「おー、サンゾーロー」と祝言を唱えた。
 土脇さんは「昨年と比べ、全体的に良い占いができた。対馬の大事な神事として、地元の方と一緒に継続していきたい」と話した。

対馬の水産業は「良」などと占った土脇さん=対馬市、雷神社

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