転院搬送ガイドライン、未策定の都道府県を問題視-総務省消防庁が消防白書公表

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 総務省消防庁は8日、消防白書(2018年版)を公表した。いったん医療機関に収容された患者の症状悪化などに伴い、他の医療機関に搬送するために救急車が出動する「転院搬送」について、全体の救急出動件数に与える影響が大きいことを指摘。転院搬送に関するガイドラインを策定していない都道府県があることを問題視している。【新井哉】

 専門的な治療が必要だったり、他の疾病が見つかったが搬送先の医療機関で治療ができなかったりした場合、転院搬送に救急車を使うことが少なくない。しかし、タクシー代わりに使うといった本来の救急業務の範囲外とみられるケースが指摘されており、転院搬送時の適正利用が医療機関に求められている。

 消防庁と厚生労働省は16年3月、都道府県に通知を出し、転院搬送のルール化に向け、地域の合意形成を支援するよう要望。緊急性の乏しい転院搬送に関しては、医療機関の病院救急車や消防機関が認定する患者搬送事業者の活用を検討する必要性を挙げていた。

 消防庁によると、転院搬送が救急出動件数に占める割合は約8%。8年連続で増えており、改善の兆しが見えない。白書では、16年の通知に基づくガイドラインの策定について、「作業が進んでいない都道府県が散見されることから引き続きフォローアップを行っていく必要がある」との考え方を示している。

 搬送困難事例(精神疾患関連)については、都道府県などに通知を出して「精神科救急医療体制の更なる整備を促した」と記載。救急隊の疑義などに医師が対応するメディカルコントロール体制に関しては「救急救命士の処置範囲の拡大など救急業務の高度化を図るためには、今後もメディカルコントロール体制のより一層の充実強化が必要である」としている。