都、災害時役立つ水運べる風呂敷を配布 イベントなどで、無電柱化計画は改定

小池知事(右)は配布する風呂敷に水を注いで性能をアピールした

東京都は8日、高はっ水性能を持つ風呂敷を、イベントなどを通じて配布することを明らかにした。水の持ち運びも可能で、風呂敷の災害時の活用を啓発する。また「東京都無電柱化推進計画」の改定案も発表した。現行計画を2年延長し2014~20年度までとし、防災に寄与する区市町村道の無電柱化の強化などを盛り込む。

風呂敷は96cm四方の正方形で、はっ水加工がされている。袋状にして水を注いでも染み出さないので、非常時の水の運搬に用いることができる。水を入れた状態で強く押すとシャワー状に水が出るようになっている。

都では14日に渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センター小ホールで開催される「東京2020大会に向けた安全・安心シンポジウム」(定員300人)でまず配布する。今後、イベントのほか、防災組織市民リーダー研修や女性防災人材育成のための防災コーディネーター研修の修了者にも配布する予定。小池百合子知事は8日の記者会見で「風呂敷は三角巾としてのほか、避難所での着替えや授乳時の目隠しとしても使える」と説明した。都では災害時の風呂敷の使い方についてイベントやホームページを通じて説明していく方針。

無電柱化計画は2014~18年度だった現行第7期計画を2年延長し改定するもの。今年度で終了予定だったが、2020年にオリンピック・パラリンピックがあり、完成を急ぐため延長・改定とした。従来計画より都道89km、区市町村道80kmを追加し、それぞれ806km、279kmを7年間の整備計画延長とした。国道も合わせ1154kmとなる。

都道では都心となる環状7号線内側エリアや、区市町村庁舎や災害拠点病院など災害時に重要な拠点となるエリアに注力。区市町村道も防災を重視し、災害拠点病院や庁舎といった防災拠点に接続する区市町村道の無電柱化に、都が本来は区市町村が負担する費用の4分の1を追加負担する。既に都が4分の1を負担することになっているため、国と都が半分ずつを負担することになり、区市町村の負担はゼロとなる。2019年度予算で2億円を計上する計画。台風の被害が多い島しょ部での整備も、整備手法の確立を検討したりモデル路線を設置することなどで強化する。

無電柱化について都では2018年3月に2018~27年度までの10年間の都の基本方針などを示した計画を出している。今回の第7期計画改定・延長はそれを受け、具体的な数値目標や路線を含んだ実施計画という位置づけとなっている。小池知事は「災害対応上、防災拠点周辺の無電柱化を重視した」と述べた。8日から3月10日までパブリックコメントを募集する。

■ニュースリリースはこちら(無電柱化計画)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/02/08/05.html

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(了)

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