末井昭 「自殺会議」- 「こんなたくさんの人から自殺の話を聞いたけど誰一人として深刻な雰囲気にはならなかった」

自殺しようとしている人が好きなんです

「ビニ本」や「パチンコ必勝ガイド」などを大ヒットさせ白夜書房を退社してからの末井さんのフットワークは素晴らしすぎる。編集者はもとより作家、エッセイスト、ミュージシャン、そしてトークも面白いし人情家だし、ほとんど欲もない。悔しいけどこういう人を誰からも愛される天才というんだよな。私は自慢ではないが末井本はほとんど読んでいる。本当に読みやすい。なぜ「自殺のことを書くのか」について、多分自殺する人が好きなのだと言う末井さんの今回のテーマは、それぞれ自殺に縁のある人(著名人も含めて)にインタビューをしている。「自殺未遂した人、自殺しようとしている人を救っている人、自殺が少ない街を研究している人、親が自殺した、子供が自殺した人」などなど、「こんなたくさんの人から自殺の話を聞いたけど誰一人として深刻な雰囲気にはならなかった」と末井さんが前書きで語っているように実に明るく時には楽しく「自殺」を語っているのだ。(平野悠)

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