「高森のにわか」国文化財に 審議会答申、県内12件目

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風鎮祭で「にわか」を披露する向上会のメンバー=2018年8月17日、高森町

 国の文化審議会は8日、熊本県高森町に伝わる「高森のにわか」を記録作成などを通じて保存すべきとして、国選択無形民俗文化財にするよう文化庁長官に答申した。県内の国選択無形民俗文化財は、2015年の「八代・芦北の七夕綱」と荒尾市の「野原八幡宮風流[のばらはちまんぐうふうりゅう]」以来で12件目となる。

 「高森のにわか」は、8月中旬に高森町中心部で2日間開かれる風鎮祭[ふうちんさい]の夜に演じられる即興的な寸劇。町中心部に五つある「向上会[こうじょうかい]」と呼ばれる青年組織によって伝承されている。風鎮祭は五穀豊穣[ごこくほうじょう]を願う祭事で1752年が始まりとされ、にわかも同時期に始まったとされる。

 若者2、3人が荷車を改造した「移動舞台」に立ち、時事ネタを織り込んだ新作を高森弁で毎年演じる。途中、3歩進んで2歩下がる「道行[みちゆ]き」をするのも特徴。最後は観客との掛け合いを経て、謎解きのようなオチを披露する。

 即興性などにわか本来の姿を継承していることに加え、江戸時代から続く芸能の変遷の過程や、移動舞台の使用など地域的特色を示していて貴重であると評価された。にわかの国選択は全国で3件目となる。

 風鎮祭実行委員会の吉良嘉人会長は「途絶えることなく継続できたのは先輩の教えと郷土愛のたまもの。若者は減少しているが、力を合わせて町内外に発信していきたい」。草村大成町長は「保存冊子などの作成に取り組みたい」とした。

 文化審はこのほか7件を国選択無形民俗文化財にするよう答申。福島県伊達市の蚕種製造及び養蚕・製糸関連用具を重要有形民俗文化財に、北九州市の小倉祇園祭の小倉祇園太鼓など3件を重要無形民俗文化財に指定するよう答申した。(田上一平)