自殺生徒の母、大綱「納得できぬ」

©株式会社福井新聞社

男子生徒の母親が池田町と町教委に提出した意見書=2月8日

 福井県池田町の池田中で、2017年3月に担任らの厳しい叱責などを苦に校舎から飛び降り自殺した男子生徒=当時(14)=の母親が2月8日、町が同日改定した教育大綱(案)について「納得することはできない」とする意見書を町教委に提出した。母親は取材に対して「息子(の死)の原因をよく考えずに作られている印象。どこの市町でも通用する内容」と疑問を口にした。これまでの町教委の対応への不信感も語り、町が今後目指す教育の「大方針」は遺族の理解を得られないままの改定となってしまった。

 意見書は杉本博文町長と内藤徳博教育長宛て。手書きの便せん2枚で、この日の町総合教育会議直前に提出した。2月1日に開かれた教育大綱検討委の最終会合でまとまった内容に対し「もう二度とこのような悲しい出来事が起こらないように真摯に向き合い取り組んで頂いているのか疑問を感じずにはいられません」などと苦しい胸の内を記した。

 遺族は最終会合の報道で大綱案の詳しい内容を知ったという。町教委から3日に資料を受け取り、4日に内藤教育長らから説明を受けた。男子生徒の死をきっかけに設けられた各種会議は、開催から1カ月半後に内容の報告を受けたこともあり、母親は「教委には寄り添う姿勢を感じられない」と不信感を明かした。

 8日の会議では、遺族が指摘した前文の一部を削除し新大綱として正式決定した。母親は取材に対し「(前文を)表面上直しても納得できない。内容自体は理想的だと思うけど、家族の思いを一生懸命に説明したのに伝わらず残念」と時折声を詰まらせながら話した。母親は昨年、検討委の会合に出席したい旨を伝えたが実現しなかったという。

 意見書を受け取った内藤教育長は、会議後の会見で「教育大綱は町の今後5年間の総合的な教育の方針を示すもの。池田中の悲しい出来事は大きなきっかけではあるが、そのものだけを考えての大綱ではない」と理解を求めた。

 杉本町長は「(遺族の)懸念は十分に理解するが、大綱改定に携わった人たちは全員が誠意を持って取り組んできた。大綱の方針を実行し、子どもたちの明るい姿を見てもらうことも(遺族の)心を慰めていくことにつながるのではないか」と述べ、大綱に掲げた理念の具体化に取り組む決意を示した。