長崎イメージした大作 彫刻家 青木野枝さん個展

 工業用の鉄板を溶断、溶接して作品を生み出す埼玉県の彫刻家、青木野枝さんの企画展「ふりそそぐものたち」(県美術館主催)が9日、長崎市出島町の同館企画展示室で始まった。長崎をイメージした独創的な大作など7点が並ぶ。
 青木さんは1958年東京都生まれ。武蔵野美術大大学院造形研究科(彫刻コース)修了。同大在学中から鉄の彫刻を続け、人、生き方、水などに思いをはせる世界観で注目を集める。九州の公立美術館では初の個展となる。
 長崎をイメージしたメイン作品「ふりそそぐものたち」は、高さ約5.5メートル、縦約3メートル、横約13メートルの空間の中で、鉄の輪をアーチ状につなぎ、赤色のガラスを点在させた。約1トンの重量を感じさせない軽やかで繊細な雰囲気が漂う。
 開場式の後、青木さんがバーナーで鉄板の溶断、溶接を実演し、ファンら約120人が見学した。青木さんは「いとこが長崎原爆で亡くなった。長崎の歴史と文化を学び、真摯(しんし)に作品を造った」と語った。
 10日午前11時から同館アトリエ前庭園でデモンストレーションを無料公開する。観覧料は一般1200円、大学生・70歳以上千円、高校生以下無料。

長崎をイメージした大作「ふりそそぐものたち」=長崎市、県美術館

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