メクル第344号 ハコフグ ホバリングが得意  生きもの大好き 長崎編 

 19日まで開催(かいさい)中の「ペンギンと海のランタン展(てん)」。ウニの殻(から)を使ったランタンやフグちょうちんと一緒(いっしょ)に、水槽(すいそう)を泳ぐハコフグが展示(てんじ)されている。
 名前に「ハコ」と付く通り、角ばった体に、とがったおちょぼ口。小さなヒレをパタパタけなげに動かして、水中でじーっと止まっているかのよう。まるでヘリコプターがホバリングしているみたいだ。
 成長すると、体長は30センチほど。刺激(しげき)を受けると体の表面から毒を出すけれど、肉や内臓(ないぞう)に毒はない。岩手県から九州南部にかけて、水深50メートルまでの沿岸(えんがん)にすんでいる。「泳ぎ方が特徴(とくちょう)的。このハコフグは近くの海からやってきたんですよ」と、魚類担当(たんとう)学芸員の大塚摩耶子(おおつかまやこ)さんが教えてくれた。
 ゆっくりとパトロールするように、水中散歩。他の魚みたいに体をくねらせてすいーっと泳ぎ回ることができないのは、体が硬(かた)いうろこで覆(おお)われているから。「独特(どくとく)な形をそのまま生かした『かっとっぽ』というみそ焼きの料理もあって、おいしく食べられるんです」。四角い体の構造(こうぞう)が、まさか、器として利用されているとは。

いかつい体つきと、かわいい泳ぎ方のギャップが愛らしいハコフグ=長崎市宿町、長崎ペンギン水族館

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