「ボルト不足」整備に遅れ ラグビーW杯、熊本会場のスクリーン

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2基目の大型スクリーンが設置されるえがお健康スタジアムの観客席。2月の完成予定だったが、高力ボルト不足の影響で工事は進んでいない=1月27日、熊本市

 今秋のラグビーワールドカップ(W杯)の会場となるえがお健康スタジアム(熊本市)で、W杯組織委員会が会場整備基準の一つとして定める大型スクリーン(縦6.7メートル、横12メートル)の建設が大幅に遅れ、関係者は危機感を募らせている。原因は鉄骨を接合するのに必要な「高力ボルト」が全国的に不足しているためだ。東京五輪などによる大型施設の建設ラッシュが背景にあり、国土交通省が需給安定化に向け、業界に協力要請する異例の事態となっている。

 ラグビーW杯で10月6日と13日に2試合を予定する同スタジアム。W杯組織委員会は競技場に2基以上のスクリーン設置を求めており、県は昨年12月、2基目を設置する工事を始めた。2月中旬に完成予定だったが、設置場所となる観客席最上部の基礎工事を終えただけで、スクリーンを支える鉄骨土台の建設に着手できない状況だ。

 県国際スポーツ大会推進課によると、工事には高力ボルト約2千個が必要。メーカー側に催促し、「納期は早くて2月上旬」という回答があったが、確保のめどは依然、立っていないという。

 同課は「組織委からは8月末までに設置できれば問題ないと聞いている。工期は余裕を持って設定したが、入手できなければ、溶接などに工法を変更する必要がある」と苦慮する。

 高力ボルトは高層ビルや橋などの建設で、鉄骨をつなぐために不可欠な部品。東京五輪・パラリンピックや都市再開発が相次ぎ、需要が急増した。国内に主要メーカーは数社しかなく、供給不足は昨年夏ごろから深刻化し、価格も上昇した。

 国交省によると、通常1・5カ月の納期は6カ月まで長期化。同省のアンケートでは、高力ボルトを使用する建設業者の8割強が「工期に影響が出ている」と回答した。このため昨年12月、メーカーに安定供給を呼び掛ける一方、建設業界には取り置きなど必要以上の発注を控えるよう要請した。

 メーカー8社でつくる高力ボルト協会(大阪)は「今の品薄は、五輪などの一時的な特需。各社は稼働まで年数がかかる設備投資に踏み切れず、生産能力をすぐには上げられない」と話している。(志賀茉里耶)