【平成の長崎】長崎がんばらんば国体第10日 剣道 大将・62歳片山 古里五島で花道飾る 教え子とともに悲願達成 平成26(2014)年

 古里五島で花道を飾った。剣道成年男子の大将片山(西陵高教)、62歳。「現役最後の公式戦になる」。そう決めた地元国体で、悲願の初優勝を遂げた。
 2,008年から2年間、大将(55歳以上)として出場した。08年は4位に貢献したが、翌年は準々決勝の大将戦で延長の末に惜敗。「若手がお膳立てしてくれたのに自分のせいで負けた」。責任を感じた。そのまま、一度は一線を退いた。
 だが、未練は残っていた。14年は地元長崎、しかも生まれ育った島で国体がある。「恩返しをするチャンスがちょうど来ている。ここで頑張らないでいつ頑張るんだ」。気力を振り絞り、13年から代表に復帰した。
 国体に出ようと決めてから、体重を5、6キロ絞り込んだ。ちょうど定年を迎え、再任用されていた。勤務時間は半分になる。体調管理に気を付けながら、午後4時から生徒と一緒に汗を流した。
 今大会は成年女子の3人をはじめ、長崎西高、西陵高時代の教え子が全4種別に出場。成年男子の先鋒(せんぽう)浅井(西陵高職)は「先生が国体に出ると聞いて、長崎に帰ると決めた」。同じ目標に向かい、ともに強化練習に励んだ。「こんなに教師冥利(みょうり)に尽きることはない」
 決勝は1本も決めきれなかった。「最後は勝って締めたかったけど、ぜいたくというもの。若手のおかげで日本一になれた。老体にむちを打って頑張ってきて良かった」。インタビューに答えるうちに、周囲がだんだんぼやけて見えてきた。
(平成26年月10日22付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

教え子らと地元国体の舞台に立った片山(西陵高教)=五島市中央公園市民体育館

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