【平成の長崎】長崎がんばらんば大会第2日 車いすバスケ 2年連続銅 頂点まで紙一重 優勝の兵庫に惜敗 平成26(2014)年

 頂点まで紙一重の3位だった。車いすバスケットボール準決勝、兵庫戦。8点ビハインドで迎えた最終クオーター、開始から4分間で逆転した。その後は一進一退の攻防。だが、最後は63-66の3点差で敗れた。
 目標の「地元優勝」がなくなった瞬間。選手たちは一様に落ち込んだ。約3時間後の3位決定戦。第1クオーターは、その気持ちを引きずったまま、埼玉に14-20と主導権を握られた。
 この停滞した空気を、センター田川(田川鉄工)が変える。準決勝まで思うような働きができていない。「勝っても負けてもおまえのせい」。選抜チームの強化が始まった4年前から、周囲に言われ続けてきた言葉が、頭の中を巡った。
 期待されているのは得点。「まだ俺、何も恩返しできていない」。第2クオーター2分、激しいゴール下の争いを制すると、そこから一気に3連続ゴール。この気迫が会場を巻き込んだ。広がる「長崎」コール。田川が引き寄せた流れは、最後まで相手に渡らなかった。
 決勝は兵庫が優勝候補の仙台市に72-50で快勝した。表彰式後のミーティング。昨年と同じ銅メダルを首にかけたチームリーダーの西田(山創)が、ゆっくりと口を開いた。「去年は出場することが目標。1年たって優勝を狙えるまでになった。胸を張ろう」。あと少しの努力でメダルの色は変えられる。もっと強く-。可能性は十分に示した大会だった。
(平成26年11月3日付長崎新聞より)
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【車いすバスケットボール3位決定戦、埼玉-長崎】第4クオーター4分、長崎のセンター田川(田川鉄工)がシュートを決めて57点目=長崎市、県立総合体育館

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