福井工大、人工衛星打ち上げへ着々

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打ち上げを目指す超小型人工衛星の性能を確かめる中城智之教授(右)ら=福井県の福井工大福井キャンパス

 超小型人工衛星で観測したデータを地域貢献に生かす「ふくいPHOENIX(フェニックス)プロジェクト」を展開している福井工業大学(福井工大)が、人工衛星打ち上げに向けた準備を進めている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロケットに搭載して今夏にも打ち上げられる予定で、10月の運用開始を目指す。屋外照明など地上の街明かりを宇宙から観測し、県内外の美しい星空を保護する活動につなげる計画を描いている。

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 PHOENIXプロジェクトは、人工衛星から得たデータを観光や地域振興に生かそうと2016年にスタート。同大の中城智之教授(電気電子工学科)や学生ら約30人が取り組んでいる。計画では、人工衛星に搭載したカメラで夜間の福井県内を撮影し、屋外照明など人工的に放出される光の量を調べ、美しい星空を見られるようにするにはどの程度の光量を抑制すればよいか分析する。中城教授によると、地上の街明かりを調べる人工衛星の活用法はほとんど例がないという。

 人工衛星の機材は、超小型人工衛星開発を手掛けるデンマークの「GomSpace」社から約4千万円で購入した。組み立てると縦横各10センチ、高さ34センチ、重さは4キロ程度になり、最大50キロ四方の範囲を撮影できるカメラを搭載する。現在はカメラで撮影したデータを送受信できるかなどを確かめている段階で、3月ごろから機体の組み立てに着手する。一部の部品は自前で用意する必要があるため、カメラを覆うアルミ板などの製造を鯖江精機(越前町)に依頼した。

 組み立て後は、県工業技術センターにある熱真空試験機などを使い、人工衛星が宇宙で運用できるかを確かめる。その後JAXAの審査を経て打ち上げが正式決定する。

 打ち上げられた人工衛星は国際宇宙ステーション(ISS)から宇宙に放出され、高度約400キロの軌道で地球を周回。同大福井キャンパス(福井市)のアンテナから人工衛星に撮影の指示を出し、画像データはあわらキャンパス(あわら市)の大型アンテナで受信する。観測データを農業や日本海沿岸に漂着するごみの抑制に役立てる計画もある。運用期間は1年を予定している。

 中城教授は「人工衛星を活用して福井の美しい星空を保護し、観光資源にする取り組みにつなげたい」と意気込む。また「多くの観測データを集めるには1機だけでは難しい」と話し、2機目の打ち上げも計画しているという。