鴻池留衣 「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」- 「ダンチュラ・デオ」は何者だ!? ウィキペディアは何を語るのか

「ダンチュラ・デオ」は何者だ!? ウィキペディアは何を語るのか

この前友達に勧められて読んだらぶっ飛ぶほど面白かったので紹介します。この作品は「ダンチュラ・デオ」というバンドの経歴に沿ってストーリーが展開されて行くのですが、それがさらにウィキペディアの形式を使って進んでいくところが非常に面白いです。ただそのアイデアが面白いというだけではなく、魅力的なキャラクターたちや突如として訪れるありえない展開、現実の社会情勢の細かな動きなども一緒にウィキペディアの世界に放り込んだことで、今のポスト真実の時代を小説でしか表せない形で切り取ることを可能にしていて、まさに新文学の名手と言われる作者の鴻池留衣さんの持ち味を存分に発揮させた作品になっています。ウィキペディア的な文体から小説的な文体への切り替えも見事に整理されており、読みやすく、普段本から離れている方も気軽に読めるかと思います。いろいろ説明しましたがとにかく手に取って最初のページを開いてほしい一冊です!(ネイキッドロフト:越慶次郎)

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