短期通所で介護予防 寝屋川市がモデル事業

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短期通所サービスの体験を話す久川さんと北口さん(左から4、5人目)=寝屋川市の市立市民会館
歯科衛生士による面談の様子(寝屋川市提供)

 急速な高齢化の進展を背景に、寝屋川市は本年度、介護予防サービスにリハビリなどの理学療法を組み込んだ「短期集中通所サービス事業」をモデル実施し、成果を上げている。身体機能の向上や社会参加につながる介護予防の効果を科学的手法で検証したものだ。市は「高齢者が地域社会で活躍する機会が増えることで、長期的な介護予防につながる」と展望している。

 市は昨年2月、「医療経済研究機構」(東京)と協定を結び、同時にプログラムを開始。リハビリの専門家である理学療法士らが、介護保険サービスを利用している要支援者とともに個別の目標を立て、自立支援につなげていくという3カ月間の集中プランだ。

■視野が広く

 「気力が戻った。民謡を習い始め、日帰りバス旅行にも出掛けられるようになった」。

 市内で5日にあった報告会では、専門職や自治体職員ら約300人を前に、通所サービスを利用した北口三造さん(74)が生き生きと語った。過去3年間は病院への入退院を繰り返したが、その後、デイサービスに加えて短期通所を利用したところ、「視野が広くなった。生活が充実している」と声を弾ませ、拍手が湧き起こった。

 4年ほど前に脳内出血で倒れ、半年以上は歩くこともままならなかったという久川謙次郎さん(69)もその一人。家族の勧めで利用することになり、予防給付が不要となる「卒業」を果たした。

■「卒業」が19倍

 プランは運動と口腔、栄養の機能向上や改善を一体化し、日常生活への助言を含んで多岐にわたる。理学療法士やケアマネジャーだけでなく、歯科衛生士や管理栄養士ら異業種が週1で関わり、個別面談にも連日時間を割いているのが特長だ。

 調査では、家事や身支度などで限定的に手助けを必要とする65歳以上の「要支援者」約400人を抽出。サービス利用の有無でそれぞれほぼ同数になるよう大別し、有効性を統計的に比較した。

 検証は暫定結果ながら、北口さんや久川さんを含む短期通所利用者の11%が「卒業」。「卒業」した人数は、サービスを利用しなかったグループの19倍だった。他にも「ものごとへの関心や興味」「いすからの立ち上がり」「家の中でのつまづき」などを問い、利用したグループは数値の向上が顕著だった。

 専門職の一人は「期限が決まっているので、目標の選択と集中を図る。利用者にとっても明確なイメージにつながるのでは」と指摘する。

■増える要介護者

 市高齢介護室によると、市内で団塊の世代が75歳を迎える2025年には、要介護認定者数が現在より3割増えるという試算がある。さらに厚生労働省の推計では、全国の介護需要は現状で供給が37万7千人不足する需給ギャップが生じている。社会保障費の大幅増が見込まれる「2025年問題」を前に、この差を埋める方策が求められている。

 「医療経済」の第一人者で、検証にも関わった医療経済研究機構の西村周三所長は「残りの人生が『短い』と考えがちな高齢者にどんな希望を持ってもらうか。自己決定権を尊重しつつ、その背中をそっと押すことが大事で、『元気になりたい』『ゆっくりしたい』という思いの間で揺れ動く高齢者の気持ちを専門職と共有する仕組みができれば」と提言する。