大黒島【32】

室蘭

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黒ユリ咲く「親なる島」

室蘭港の入り口に浮かぶ小さな島だが、歴史が色濃く残る大黒島

 室蘭・絵鞆岬から海上約1キロメートル先、室蘭港入り口に浮かぶ大黒島。周囲約700メートル、標高35メートル、面積2・4ヘクタールの島で、アイヌの人たちは「親なる島」「大きな島」という意味の「ポロモシリ」と呼んでいた。

 1796年(寛政8年)イギリスの探検船プロビデンス号で来航したブロートン船長は、作業中に事故死した船員ハンス・オルソンをこの島に葬り「オルソン島」と名付け、自身が記述した「北太平洋探検の航海」で「噴火湾(ボルカノベイ)」などの名称と共に世界に紹介した。

 しかし、現在使用されている大黒島の由来は、江戸時代後期の1830年代に室蘭地方の場所請負人だった岡田半兵衛が、航海など安全祈願のためこの島に大黒天を奉ったことによる。

 この島に残る旧室蘭灯台(通称大黒島灯台)は、1891年(明治24年)に四角形白色木造の灯台として設置され、1926年(大正15年)に白色コンクリート製灯台に改築した。1974年(昭和49年)、室蘭港拡張による室蘭港北外防波堤灯台稼働により、灯台としての機能が停止してもその白亜の姿は室蘭港のシンボルとなっている。

 また、島にはオルソンが葬られた後、黒ユリが咲き乱れたという「黒ユリ伝説」が残り、1970年(昭和45年)に制定された「室蘭八景」の一つである大黒島には「黒ユリ咲く大黒島」のキャッチフレーズが付けられた。昭和の中ごろまで黒ユリは絵鞆地区や港を挟んだ陣屋地区などにも咲いていたが次第にその姿を見掛けなくなり、1990年代から有志の人たちによる黒ユリの植栽が大黒島で行われた。現在は年1回の清掃が続けられている。
(成田真梨子)

(2019年2月10日掲載)