動画マニュアルを“多言語”に自動翻訳! 外国人労働者の育成コストも減るAIサービスの秘密を聞いた

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日本で働く外国人労働者は増え続け、厚生労働省の発表では、2018年10月末時点で146万463人にのぼっている。この数字は「改正出入国管理法」の施行でさらに増加するとみられ、日本政府の見込みでは2019年度からの5年間で最大34万人を受け入れるという。

人手不足に悩む日本の労働市場では歓迎されるだろうが、さまざまな国の言語に対応した研修・社員教育は簡単ではなく、「外国人労働者の育成で苦労した」 と8割以上が感じたというデータもある。

こうした中、AI開発などを展開する「株式会社ヘッドウォータース」は、研修や教育の負担を減らすべく、動画を多言語の字幕に翻訳するAIサービス「JIMAKU Mate」の提供を始めた。

動画を専用フォームに投稿

1.動画投稿
2.AI連携(左)3.字幕編集(右)

「JIMAKU Mate」はもともと、同社が提供する総合的な情報共有サービス「Pocket Work Mate」に組み込める機能の一つとして開発されたもの。
動画を専用フォームに投稿することで、AIでの動画解析、字幕生成、選択した言語への翻訳までを自動で行ってくれる。生成された日本語字幕はインラインで編集することができ、翻訳の前に、話し言葉や細かな表現の違いなどをその場で修正することも可能だ。

4.翻訳したい言語の選択
5.翻訳後は言語の種類を変更することも可能 (左)英語 中国語(右)

対応言語は2019年2月時点で、英語や中国語など60以上。
動画形式の業務マニュアルにも導入できるため、外国人労働者の育成にも役立ちそうだ。

動画の音声を字幕化して自動翻訳する仕組みはどうなっているのだろうか?
そして、このサービスを導入することで、教える側の負担をどのくらい軽減できるのだろうか?株式会社ヘッドウォータースの担当者に開発経緯などを聞いた。
多言語翻訳を可能とする2つのAI
――「JIMAKU Mate」を開発した理由は?

「Pocket Work Mate」を導入したクライアントの要望に答える形で開発しました。「Pocket Work Mate」では従業員の教育やコミュニケーション、データ分析などさまざまなことが可能ですが、ベースは動画媒体での情報共有で成り立っています。例えば、労働現場の作業手順の動画を撮影して投稿すると、アルバイトを含む従業員全員が閲覧できるような仕組みです。

導入クライアントの多くが、動画マニュアルの共有など従業員の早期戦力化のために利用していますが、外国人労働者に対応するためには、動画マニュアルを各言語に応じて作り直す必要があり、これまでは膨大な時間やコストが必要でした。

「Pocket Work Mate」の活用例

――動画を自動翻訳する仕組みは?

AIアシスタント「Siri」やスマートスピーカーで採用されている機能「音声認識」を使い、動画の音声情報を文字情報に変換して翻訳しています。
細かく説明すると、「JIMAKU Mate」に搭載した「動画の音声情報を認識して字幕化するAI」を活用して対象の動画から文字情報を抽出します。そしてこの文字情報を「字幕化された文字情報を多言語に翻訳するAI」に解析させることで、日本語字幕の多言語翻訳を実現しています。

また、どのタイミングで誰が何を話しているかについては、 音声が発生するタイミングと動画の秒数を記録することで判別しています。
通常の翻訳方法では、動画を再生しながら停止、翻訳を繰り返して作業を進めるため、作業の大幅な効率化が期待できます。

――外国人労働者の育成に関する効果は?

外国人労働者を育成する際、最大のボトルネックとなるのが言語の壁です。言葉が通じないとコミュニケーションも難しいですが、翻訳された動画を活用することで「非言語での情報伝達」が可能となり、指導も伝わりやすくなります。 外国人労働者にも「母国語の字幕があればとっつきやすい」と好評です。

また、多国籍の外国人労働者や外国企業に対しても、同じレベルでの意思疎通が可能となるため、業務理解度を均一に保つことができます。

教育に必要な業務時間が70%減少

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――コスト削減につながる理由は?

多くの企業では、日本人労働者向けの教育マニュアルなどを持っていますが、「JIMAKU Mate」を導入することで、この“資産”を「外国人向けに自動変換」することが可能となります。外国人労働者向けの教材を用意する必要がなくなり、当社のデータでは教材制作費が4割減ったケースもあります。

このほか、小売業で行った実証実験では、外国人労働者の教育に必要な業務時間の減少も確認できました。
実験は商品の陳列方法やレジ打ちの方法など、計10種類の業務内容を教える動画マニュアルの制作を目的に行い、日本語、中国語、韓国語、ベトナム語の計4カ国語に対応する時間を調べたところ、「JIMAKU Mate」の導入で、必要な業務時間が270時間から90時間に減りました。

――今後の展開は?

今後は大きく2方面での展開を考えています。 一つは製造業、宿泊業、建設業、飲食業、小売流通業への提供です。業務に使用する機材の説明、店舗接客のオペレーション方法などを多言語翻訳された動画で共有することで、業務の効率化などにつながると考えています。

もう一つは動画マニュアル以外の用途として、地方自治体や交通インフラのインフォメーションに活用することです。例えば、地下鉄は多国籍の外国人が利用していますが、列車内で流れる広告のほとんどが無音になっています。これを国籍別に対応することができれば、広告の利用価値も広がるはずです。

海外には業務マニュアルの文化自体がない地域もあるが、母国語に翻訳されたマニュアルならわかりやすいし、直感的にわかる動画であれば、より理解度が深まるだろう。
このサービスを活用することで、教える側の負担も含めて生産性の向上につながるはず。
外国人労働者を受け入れたいけど指導体制が不安という企業は、AIサービスに頼る時代が来ているのかもしれない。

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